【住宅会社向け 地震対策6選】地震に強い住宅を建てる方法とは
日本は地震発生のリスクが高い国であり、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大きな地震が、高い確率で今後発生することが予想されています。 いつか起こるかもしれない災害ではなく、高い確率で起こるであろう災害として、地震に強い住宅づくりは、施主に安心できる住まいを提供する上で重要です。
そこでこの記事では、地震に強い住宅を実現するために必要な地震対策を6つ具体的にご紹介します。
この記事で分かること=========
・地震対策が必要な3つの理由
・地震対策の6つの種類
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目次[非表示]
- 1.地震対策が必要な3つの理由
- 1.1.今後も地震発生が見込まれるから
- 1.2.地震による損害金額の負担が大きいから
- 1.3.施主の耐震性に対するニーズが高いから
- 2.地震対策の6つの種類
- 2.1.地震発生時に効果を発揮する対策
- 2.1.1.耐震対策(揺れに耐える)
- 2.1.2.制震対策(揺れを抑える)
- 2.1.3.免震対策(揺れを伝えない)
- 2.1.4.液状化検討(液状化リスクを評価する)
- 2.2.地震発生後に効果を発揮する対策
- 3.さいごに
地震対策が必要な3つの理由
今後も地震発生が見込まれるから
地震大国とも呼ばれる日本は、地震の発生リスクが高い地域に位置しています。これは、地球のプレートがぶつかり合い、沈み込む「プレート境界」の上に位置しているためです。この地理的条件もあり、実は国内では、人間が体で感じられる地震(震度1以上の有感地震)は1年に1,000~2,000回の地震が発生するなど、世界中でも特に日本は地震が頻発する国です。
また、文部科学省が発表したデータによると、今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率が70%以上と予測される地域もあります。特に南海トラフ地震は、マグニチュード9.1規模の巨大地震が発生する可能性が高く、2030~2040年の間に発生する確率はかなり高いと考えられています(※1)。これらのデータからも、家づくりにおける地震対策は必要だといえます。
※1 出典元:日本財団ジャーナル 「30年以内に巨大地震が起こる確率70パーセント。京大名誉教授が唱える「今やるべき備え 」」2022年2月
地震による損害金額の負担が大きいから
地震が発生した際、住宅が受ける損害は、施主にとって大きな経済的負担となります。過去に発生した東日本大震災では、住宅が全壊した被災者が新築住宅を再建するために要した平均費用は約2,500万円に上ったといいます。一方で、政府や自治体から受け取ることができた義援金や公的支援金は平均約400万円だったことから、住宅の再建だけで最終的に約2,100万円が施主自身の負担となりました。
このような経済的な損害を軽減するためにも、地震に強い住宅として損害を最小限に抑えるための対策が必要だということがいえます。
施主の耐震性に対するニーズが高いから
一方で、住宅の品質基準に対する施主の要求が高まっていることもあり、住宅購入で最も重視する性能として「耐震性」が挙げられています(※2)。特に、今後新築住宅の購入を検討している30代の男女の約70%が価格の次に耐震性を重視していることから、耐震性は住宅購入を検討する上で重要な要素であることは明らかです。
こうした今後の地震発生率に加え耐震性の重要性が高まっていることから、地震に強い家として施主へ提案できることは、選ばれる理由の1つとして重要なポイントになることが伺えます。
※2 出典元:新建ハウジング「【独自調査】性能ニーズは「耐震性」がトップ 早急な適応が必須」2024年8月
地震対策の6つの種類
大きな地震がいつどこで起きてもおかしくないことから、地震に強い家を建てる重要性がご理解いただけたかと思います。では、実際に地震に強い家を建てるためにどんな地震対策が必要なのかについて、6つご紹介いたします。
地震発生時に効果を発揮する対策
耐震対策(揺れに耐える)
1つ目は耐震対策です。耐震対策とは、住宅の構造を強化し、地震の揺れに耐えられるようにする方法のことです。具体的には、壁や柱、基礎など主要な構造部分の強度を高めることで、住宅全体の耐震性能を向上させることができます。また、接合部の金物検査を徹底することで、部材間の結合を強化し、揺れに対する耐久性を向上させることもできます。
さらに、実はシロアリ対策も耐震性能に良い影響を与えます。シロアリによる木材の食害が進行すると、柱や梁などの強度が低下し、地震時に住宅が倒壊するリスクが高まります。そのため、防蟻処理を適切に行うことも、耐震性能を維持するために重要な要素となります。
制震対策(揺れを抑える)
2つ目は制震対策です。制震対策とは、住宅に制震装置を設置し、地震のエネルギーを吸収して揺れを抑制する方法のことです。制震装置には、以下のようなタイプがあります。
オイル式ダンパー:地震の際に建物に加わる揺れ(振動エネルギー)を、ダンパー内部を通過するオイルの抵抗力によって熱エネルギーに変換し、減衰させる。
- ゴム式ダンパー:地震の揺れを受けた際、ゴムの伸縮や変形によってエネルギーを吸収し、揺れを抑える。
- 鋼材式ダンパー:地震エネルギーを鋼材の曲げや圧縮、せん断変形に変換して揺れを減衰させる。
一般的に制震装置は、耐震補強や免震装置の工事よりコストが比較的抑えられ、かつ設置が容易であることから、多くの住宅で採用されています。
免震対策(揺れを伝えない)
3つ目は免震対策です。免震対策とは、建物と地面の間に免震装置を設置することで、地震のエネルギーを建物に直接伝えない方法のことです。この技術は、建物に揺れが直接届かないようにするため、地震による住宅の損傷を最小限に抑えることができます。
免震装置はアイソレータとダンパーで構成され、建物全体を浮かせるような仕組みで地震の衝撃を吸収します。ただし、免震装置は設置コストが比較的高額であること、また地盤条件による制約があることから、導入には事前の検討が必要です。
液状化検討(液状化リスクを評価する)
4つ目は液状化検討です。液状化検討とは、地震時に地盤が液状化現象を起こす可能性を評価し、その影響を予測する方法のことです。液状化は、地震の揺れによって地下水位の高い砂質地盤が一時的に液体のような性質を示す現象で、建物の沈下や傾き、道路の陥没などの被害を引き起こすリスクがあるため、液状化が発生しないかそのリスクをあらかじめ評価することが重要です。
例えば、SDS試験と地下水位測定を組み合わせることで液状化検討を実施することができます。SDS試験とは、地盤が砂質であるかどうかを調べられる、安価な調査方法です。この方法により、トルク値や貫入量といった数値データを現地で取得し土質を見極めることができます。
仮に液状化の可能性が高い地盤と評価された場合は、液状化対策工事を講じることで、住宅の安全性の向上につなげることができます。
地震発生後に効果を発揮する対策
地震保険の加入
5つ目は地震保険の加入です。地震保険とは、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を、被害状況に応じて補償する保険のことです。火災保険に付帯する形で加入する必要があり、単独では契約できませんが、国と保険会社が共同で運営しているため、どの保険会社で契約しても補償内容や保険料が統一されています。
地震保険で補償されるのは、実際の損害金額ではなく、保険の対象である建物または家財が全損、大半損、小半損または一部損の認定が行われ、それぞれの認定結果に応じて保険金が支払われます。しかし、地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の最大50%までしか受け取れないため、大規模な地震による損害を完全にカバーすることは難しいケースもあります。
地震保証の加入
6つ目は地震保証の加入です。地震保証とは、地震による住宅の損害修理や建て替え費用を、住宅購入価格を上限に100%保証する制度のことです(提供会社によって内容が異なる場合がございます)。
地震保険との違いは、以下大きく3つあります。
- 地震保証単独で加入可能
- 加入者は施主ではなく住宅会社
- 保証金額は、損害を受けた住宅の購入価格を上限に100%
地震保険では、全損以外の場合に受け取れる金額が限られますが、地震保証では損壊状況次第で住宅の購入価格を上限に保証されます。また地震保証は、住宅会社が加入者の対象として、単独での加入が可能であり、地震に強い家として施主へご提案することができます。
地震保険と地震保証それぞれの目的と特徴を理解した上で地震対策をとるようにしましょう。
さいごに
以上が、地震に強い家づくりに必要な6つの地震対策でした。
日本では、住宅の地震対策が今後ますます重要になります。首都直下地震や南海トラフ地震などすでに予測されている大規模地震だけでなく、いつどこで発生するか分からない地震に対して、地震に強い家づくりと建てた後のことを考えた対策が重要です。施主にながく安心できる住まいを提供するためにも、今回ご紹介したそれぞれの地震対策はぜひご検討ください。
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