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シロアリ対策が地震対策につながる理由とは?

日本は地震大国として、これまで大きな地震が各地で発生してきました。特に、阪神淡路大震災や熊本地震では、建物の倒壊や損壊が大きな被害をもたらしましたが、その一因として「蟻害」も建物の倒壊と損壊に関係していたことがわかっています。

​​​​​​​各住宅会社が、地震に強い家づくりとして耐震性や制震性の高い住宅の開発を進める中、シロアリ対策が地震に強い家づくりに関係していることをご存知でしょうか?この記事では、シロアリ対策と地震対策における具体的な関係性またシロアリ対策地震対策なる理由について解説します


この記事で分かること=========
・シロアリ対策の概要
・シロアリ対策が住宅に与える影響
・シロアリ対策と地震対策の関係
・シロアリ対策が地震対策につながる理由
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目次[非表示]

  1. 1.シロアリ対策について
    1. 1.1.シロアリ対策とは
    2. 1.2.日本で発生する3種類のシロアリ
      1. 1.2.1.ヤマトシロアリ
      2. 1.2.2.イエシロアリ
      3. 1.2.3.アメリカカンザイシロアリ
    3. 1.3.シロアリが住宅に与える4つの影響
      1. 1.3.1.木材の食害
      2. 1.3.2.老朽化やカビ(イエシロアリ)
      3. 1.3.3.断熱材の損傷
      4. 1.3.4.電気設備の損傷
  2. 2.シロアリ対策が地震対策につながる理由
    1. 2.1.耐震性の低下リスクの軽減
      1. 2.1.1.実例1:阪神淡路大震災(1995年)
      2. 2.1.2.実例2:熊本地震(2016年)
  3. 3.まとめ


シロアリ対策について

シロアリ対策とは

シロアリ対策とは

シロアリ対策とは、住宅の土台や柱に殺虫薬剤を塗布したり、忌避性のあるシートタイプを床下に設置することで、シロアリによる建物へ被害防ぐため措置指します。

​​​​​​​シロアリ対策に使われるものとして、例えば殺虫剤は、シロアリが木材などの建材を浸食するのを防ぐ手段であり、建物の重要な構造部分を長期間にわたって守ることができます。また忌避性のシートタイプの場合、忌避成分によりシロアリを建物に寄せ付けない環境をつくりつつ、シートタイプにより物理的なバリアを形成することで、シロアリの侵入を防いでいます。


日本で発生する3種類のシロアリ

建物のシロアリ被害を防ぐにあたり、そもそもシロアリにどんな種類があるのか。ここでは、日本で発生する3種類のシロアリをご紹介します。

ヤマトシロアリ

ヤマトシロアリは日本で最も一般的なシロアリで、湿気の多い場所を好みます。湿った木材や地中から建物に侵入して、建物の木材を食べることで被害をもたらします。

イエシロアリ

イエシロアリはヤマトシロアリよりも大規模な被害をもたらす危険性が高いシロアリです。特に、土壌内に本巣を形成し、そこから蟻道を伸ばすことで分巣と呼ばれる小さな巣をたくさん形成します。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリは、北アメリカに生息している外来種のシロアリです。日本におけるシロアリ被害の発生率は全体のおよそ0.3%とかなり少ないですが、ヤマトシロアリやイエシロアリと生態が異なることから、一般のシロアリ対策では駆除が難しいと言われています。

アメリカカンザイシロアリは生息するために多分な水分は必要としないため、どの木材部分でも被害をもたらす可能性を持っています。さらに、通常のシロアリとは異なり、空を飛んで直接木材に入り込んで巣を作ることもできます。

ヤマトシロアリやイエシロアリの在来種と比べてアメリカカンザイシロアリを発見・駆除することは難しく別の対策が必要になりますが、発生率自体が0.3%と低いため、適切な対策方法をまず理解しておくことが重要です。


シロアリが住宅に与える4つの影響

次に、実際にシロアリが住宅にどんな影響を与えるのかについて、4つご紹介します。

木材の食害

1つ目は木材の食害です。木造住宅では、木材部分がシロアリによって食べられると中に空洞部分が生じてしまいます。主要部分の中身がスカスカの木材になることで、耐荷重能力が低下し耐震性弱まる可能性あるわけです

では、RC造やコンクリート造の建物は安心かというとそうではありません。コンクリートのスキマやひび割れ部分からシロアリが侵入することができるため、内部に使用されている木材部分を食べる可能性があります。

老朽化やカビ(イエシロアリ)

2つ目はイエシロアリによる老朽化やカビです。イエシロアリは湿った木材を特に好んで食害します。さらに、自分たちで水分を運んで木材を湿らせる能力を持っている(※1)ことから、湿度の高い環境が形成されてしまいます。結果、木材が腐朽したりカビが発生してしまうこともあるわけです。

※1 出典元:シロアリ110番「シロアリ対策を自分で完結!専門家が解説する被害予防15選 」2023年12月

断熱材の損傷

3つ目は断熱材の損傷です。断熱材は住宅の快適性を高める重要な要素ですが、一方でその特性上シロアリの蟻道として利用されることがあります(※2)。

断熱材の素材はやわらかく、シロアリにとってかじりやすい為、シロアリは断熱材の中を移動します。断熱材が損傷を受けると、断熱性能が低下し、住宅の冷暖房効率が悪化するため、光熱費にも影響を与えるリスクがあります。

※2 出典元:断熱リフォームの匠「シロアリが好きな断熱材はどれ?調べてみた」2021年7月

電気設備の損傷

4つ目は電気設備の損傷です。家の電気を安定的に供給する電気配線も、シロアリにかじられることで、電気配線が損害を受けることがあります(※3)。

実際に、シロアリによる損害を受けた電気配線が短絡してしまい、これが原因で停電や火災の危険性が高まるケースも過去にありました。

※3 出典元:中川シロアリ研究所株式会社【玉名市】にてイエ白蟻の被害で漏電発生!白蟻駆除を行いました。その他の事例もご紹介」2024年10月


以上が、シロアリが住宅に与える4つの影響です。


シロアリ対策が地震対策につながる理由

シロアリ対策が地震対策につながる理由

ここまでシロアリの種類や住宅に与える影響をご紹介してきましたが、では、なぜシロアリ対策が地震対策につながるのかの理由について解説します。

耐震性の低下リスクの軽減

結論として、シロアリ対策を実施することで、耐震性が低下するリスクを抑えることができるからです

先述した通り、シロアリは主に木材を食べることで住宅に被害を与え、建物の構造に重大な損害をもたらします。結果、木材の中身が空洞化することで、木材の強度が著しく低下することにつながるため、住宅全体の耐震性を弱めることにつながるというわけです。

では、過去に地震による倒壊原因がシロアリだった実例を、ここでは2つご説明します。


実例1:阪神淡路大震災(1995年)

まず1つ目が、1995年に発生した阪神淡路大震災です。当時の調査では、シロアリ・腐れの被害があった住宅は、築年数にかかわらずその多くが全壊しました。

具体的な調査結果を見ると、震度7を記録した淡路島北淡町では、調査対象地区全体でシロアリ被害・腐朽が確認された被害住宅は58棟で、そのうち全壊が75.9%、半壊は10.3%、軽微・無被害が13.8%でした。

一方で、シロアリ被害・老朽が確認されなかった被害住宅は144棟で、そのうち全壊が38.2%、半壊は19.4%、軽微・無被害が42.4%でした。つまり、シロアリ被害・老朽が確認された住宅は、蟻害・老朽が確認されなかった被害住宅よりも高い比率で、全壊に至るほどの被害を受けたことになります。(※4)

※4 出典元:日本建築学会近畿支部「兵庫県南部地震による木造家屋被害に対す る蟻害・腐朽の影響」1995年7月


▼淡路島北淡町 住宅被害と蟻害・老朽の関係 

淡路島北淡町 住宅被害と蟻害・老朽の関係

このように、地震による住宅被害の内訳として、シロアリ被害・老朽が確認された住宅は、確認されなかった住宅より全壊の割合が大きいことから、シロアリ被害が耐震性と関わっていることがわかりました。

統計的に分析してみても、住宅被害と建物の各属性の相関関係を見ると、住宅被害とシロアリ被害有無の相関係数が0.62%と相関性の高い数値が確認できたことから、地震蟻害には相関関係あること統計的証明されいます(※4)


阪神淡路大震災(1995年) 住宅の被害程度に対する建物諸属性との相関係数

実例2:熊本地震(2016年)

2つ目は、2016年に発生した熊本地震です。当時の調査では、建築物の接合部が原因の倒壊が73棟と全体の大半を占めていましたが、シロアリ被害が原因による倒壊もありました。

具体的な調査結果を見ると、新耐震基準の導入以降で倒壊した建築物83棟のうち、建築物の状況が把握できなかった6棟を除く77棟の被害要因として、現行規定の仕様になっていない接合部が73棟、著しい地盤変状の影響が2棟、蟻害が2棟、隣接建物の衝突による影響が1棟確認されました。(※5)

※5 出典元:国土交通省 住宅局「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」2016年7月


▼熊本地震 倒壊した建築物の被害要因

熊本地震(2016年) 倒壊した建築物の被害要因

阪神淡路大震災と比べるとシロアリ被害が原因の割合は減っているものの、一定数確認されていることから、地震の倒壊にシロアリ被害が影響していることがわかります。また、接合部が原因の倒壊が多く目立つことから、そこへの対策も今後検討すべきと考えられます。

地震による倒壊が完全になくならない中、こうしたシロアリだけでなく建物自体への地震対策において課題が残っていることから、今後の家づくりでも次の対策を考えていくことが重要になります。


まとめ

シロアリ対策が地震対策につながる理由

地震対策として、住宅の耐震性を高める性能は必要ですが、同時にシロアリ対策も併用して実施することが重要だとご理解いただけたと思います。

また、今後30年以内に首都直下地震や南海トラフ地震が発生する確率も高いと公表されています(※7)。老朽化やカビ、断熱材や電気設備など表面的なリスクだけではなく、木材の食害リスクも考慮して、大きな地震に備えた「地震対策とシロアリ対策の併用」もぜひ検討してみてください。

※6 出典元:文部科学省「地震・防災研究に関する取組について」2018年


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ジャパンホームシールド編集部
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