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どれを選べばいい?長期保証サービスの役割と4つのポイント

法律で義務づけられている瑕疵保険に加えて、長期優良住宅などの定期的な点検・メンテナンスで長く使う住宅ストック型への対応として長期的なアフターサポートの体制構築は、差別化だけでなく顧客満足の観点からも重要になりつつあります。

とはいえ、瑕疵保険の延長、ハウスメーカーの長期保証、保証会社のサービスなど選択肢が増える中で、「自社はどれを選ぶのが現実的なのか」「瑕疵保険と長期保証サービスはどう整理すればよいのか」と立ち止まってしまう住宅会社も少なくないようです。

そこで本記事では、長期保証サービスの導入を検討している住宅会社に向けて、まず選択肢が多様化したことで生じる課題を整理し、選定時に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

この記事で分かること=========

・長期保証サービスの選択に迷う理由

・長期保証サービスを選ぶ4つのポイント

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目次[非表示]

  1. 1.なぜ長期保証サービスの選択に迷うのか
    1. 1.1.延長瑕疵保険との役割の違いが分かりづらい
    2. 1.2.保証期間の長さで何がどう変わるか分かりづらい
    3. 1.3.社内での共通認識が効果最大化の鍵
  2. 2.長期保証サービスを選ぶときの4つのポイント
    1. 2.1.選び方①お施主様と長期的にどんな関係になりたいか?
    2. 2.2.選び方②お施主様に何を約束するのか?
    3. 2.3.選び方③アフターサポートを無理なく続けられるか?
    4. 2.4.選び方④自社がどこまで対応できるか?
  3. 3.自社の目的に合った長期保証サービスを選択しましょう

なぜ長期保証サービスの選択に迷うのか

住宅業界における保証制度は、「法定10年の瑕疵保険さえあれば安心」という時代から変化しています。ハウスメーカーが独自の長期保証を打ち出し、保証会社が多様な保証サービスを展開する中、選択肢が広がった分だけ住宅会社の判断は複雑になり迷ってしまいます。

そこでここでは、長期保証サービスの選択に迷う理由について解説していきます。

延長瑕疵保険との役割の違いが分かりづらい

長期保証サービスの導入を検討する際、最初につまずきやすいのが「延長瑕疵保険との違い」ではないでしょうか。役割やカバー範囲が分かりづらいため、「延長瑕疵保険に入れば十分なのか、別途サービス導入が必要なのか」という判断が難しいと感じる住宅会社は少なくありません。

瑕疵保険は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいて、新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を履行する仕組みです。たとえば築11年目に、屋根や外壁の劣化が原因で雨漏りが発生した場合、法定の瑕疵保険期間は終了しているため、修繕費用は保険の対象外です。そこで用意されているのが延長瑕疵保険ですが、一定の有償メンテナンス工事を築10年時にしなければいけないケースもあります。

一方、民間の長期保証サービスは、保険商品というよりも、アフターサポートプログラムに近い位置付けと考えることができます。大手ハウスメーカーの多くは独自の長期保証制度を設け、初期保証を20年以上に延長する動きが広がっています。

これらのサービスは、単に瑕疵の補修費用を保証するだけでなく、定期点検の実施や住宅設備の延長保証まで含めて包括的にお施主様をサポートする役割を担っています。つまり、延長瑕疵保険は「万が一の補修費用をカバーする保険」に対し、長期保証サービスは「お施主様との継続的な関係を構築するための仕組み」として整理できるのではないでしょうか。

保証期間の長さで何がどう変わるか分かりづらい

「保証期間が長いほど、お施主様の安心感につながる可能性がある」と認識している住宅会社も少なくありません。実際、お施主様にとって保証期間は住宅品質の指標の一つとして捉えられており、同じ住宅性能であれば10年保証よりも20年保証が付いている方が「長く高品質が維持されている証明」と考えるケースが増えているようです。このような背景から、業界全体でも初期20年の保証の重要性を感じている住宅会社が増えています。

ある調査では、住宅会社の約半数が初期保証期間を20年以上に設定していることが明らかになりました。具体的には「20年」が28.1%、「30年」が22.7%で、残り約42.6%が法定の10年となっています。保証を延長する狙いとしては「契約率の向上」が47.6%と最も多く、「顧客満足度の向上」が43.8%、「競合との差別化」が43.5%と続いており、営業戦略上のメリットを期待する住宅会社が多いことがうかがえます。(※1)

このような調査データからも、10年以上の長期保証が重要な戦略の1つの軸だと考える住宅会社は少なくないことが分かります。しかし、「では具体的に何年の保証を付けるのがお施主様にとっても住宅会社にとっても最適なのか」という判断軸は、必ずしも明確ではありません。保証期間を何年まで延ばすかによって必要な体制整備や費用も変わってくるため、こうした見通しが立てにくいことが社内での意見の分かれを生み、最終的な決断を難しくしている要因の一つと考えられます。

※1引用元:舌肥「工務店の9割が「住宅保証を経営戦略に」 10年から20年へ広がる“安心競争”の最前線

社内での共通認識が効果最大化の鍵

長期保証は、部門によって視点や役割が異なるため、導入目的やゴールが違うと「何を重視してサービスを選ぶべきか」の認識のずれが生じてしまうケースが起こりがちです。

例えば営業サイドにとっては、長期保証は契約獲得の強力な後押し材料と考えられています。実際、「保証内容や期間が受注に影響する」と答えた住宅会社は83.3%にも上り、保証を前面に提案して受注につながった経験がある会社も約8割に達しています(※1)。

一方で、アフターサービス部門や現場サイドから見れば、保証を長くするほど点検・補修対応の責任範囲が広がり業務負担が増えると負担に感じる方もいます。経営層の視点では、保証延長によるブランド力向上や将来的なリフォーム受注への布石といった長期的な経営戦略の1つとして考えている住宅会社もいます。

とある住宅会社では、アフター担当が「経営者に費用面でNGと言われそう」と見込んで、コールサービスと設備保証に絞った落としどころを先に作り、最終的に設備保証のみで稟議を通しました。ところが、営業向け説明会を開いた段階で「なぜ全部入れないのか。不十分な内容なら提案しにくい」と反発が起き、結局全サービス導入へ仕切り直しになったそうです。経営層側も「営業が売れると判断するなら費用は許容できる」と考えており、前提となる判断軸がずれていたことが背景にありました。

部署や役職ごとに長期保証の導入に期待するものが異なる場合、または導入目的の認識を擦り合わせしないままでは社内で統一性がなくなり、「結局何のためにやるのか」がぼやけてしまいます。

長期保証サービスを選ぶときの4つのポイント

ここまで整理してきた通り、長期保証サービスの選択が難しくなっている背景として、選択肢の多様化と社内での目的認識のずれを挙げてきました。では、実際に長期保証サービスを選定する際にどのような視点をもって判断すればよいのでしょうか。

ここでは、長期保証サービスを選ぶ際に押さえておきたい4つのポイントについて解説していきます。

選び方①お施主様と長期的にどんな関係になりたいか?

1つ目は「お施主様と長期的にどんな関係になりたいか?」です。住宅業界では、新築時からお施主様と長いお付き合いを続ける前提でコミュニケーションを”大切にされている”住宅会社が増えています。とはいえ、実際にどこまで長く深く関係を続けるかは住宅会社ごとに戦略が異なるのが実情でしょう。

たとえば、「家のことで困った時には真っ先に相談してもらえる存在でありたい」と考えるのであれば、定期点検やメンテナンス訪問を通じて定期的にお施主様と会う機会を作れるサービスは有効な選択肢の1つです。長期保証サービスの中には、引き渡し後2年・5年・10年といったタイミングで定期点検プログラムが組まれており、その都度住宅の状態確認とともにお施主様からのヒアリングを行う仕組みを持つものがあります。

そうしたプログラムを活用すれば、「何かあればいつでも連絡を取れる仲」という関係構築が期待できるかもしれません。また、設備保証やリフォーム提案など付加サービスがあると、「保証期間中ずっと面倒を見てもらえる」という安心感が高まり、お施主様との信頼関係がより強固になる可能性があります。

まずは、自社がお施主様とどのような関係性を築いていきたいのかを明確にすることが、サービス選定の出発点になると考えられます。

選び方②お施主様に何を約束するのか?

2つ目は「お施主様に何を約束するのか?」です。長期保証サービスを選ぶとき、「何年保証か」「どこまで保証対象か」といった仕様面だけでなく、長期的に見てお施主様にどんな暮らしを約束するのかという視点も重要です。

たとえば、以下のような約束を挙げることができます。

  1. 資産価値を守り続ける:30年以上の長期保証による点検やメンテナンスで、「価値が落ちない状態」を維持する。
  2. 困ったときにすぐ解決する:問い合わせに対する初動や解決までのスピードが早い。
  3. 事故が再発しない:その場の応急対応で終わらず、根本的な原因を特定して再発を防ぐ姿勢を徹底する。

もちろん、このような約束を今の社内リソースで実行できるかどうか、事前に"確認した上で進めていければ”と考えています。しかし、約束することの価値が高いほど、お施主様の住宅会社への信頼感は高まるのではないでしょうか。

したがって、長期保証サービスを選ぶ際は「保証内容の差」よりも、自社がお施主様へ何を約束し、その約束を無理なく実行できる仕組みをつくれるかという観点が重要な判断基準の1つになると考えられます。

選び方③アフターサポートを無理なく続けられるか?

3つ目は「アフターサポートを無理なく続けられるか?」です。いくら内容が良いサービスでも、実行できなければお施主様に迷惑をかけ、かえって信頼を損ねてしまうリスクが高まります。サービス選定時には、自社のアフター対応力やリソースと照らして「ちゃんと回せるか」をシビアに検討することが重要だと考えられます。

特に、定期点検や補修対応を継続できる体制が重要だと考える住宅会社は多いようです。たとえば年間数十棟の引き渡しがある会社で20年保証を謳うなら、少なくとも20年間にわたって定期点検や補修、メンテナンス提案を行う責任が生じます。専任のアフターメンテナンス担当者がいて定期巡回する仕組みができていれば理想的ですが、そのような体制を整えることが難しい会社も多いのが実情でしょう。前述の調査でも「社内体制・人員不足」で長期保証の維持に課題を感じている企業が30.5%ありました。(※1)

そこで、長期保証とセットでアフターサポート業務の外注ができるサービスを選ぶことも1つの選択肢となります。長期保証サービスの中には、定期点検や問い合わせ対応を保証会社や提携業者が代行してくれるものがあります。こうしたアフターサービスの外注が可能になれば、少ない社内リソースでも運用できる体制が期待できます。

自社の現状のリソースで無理なく運用できるサービスはどれか、あるいは外部の力を借りることでどこまでカバーできるかという視点で比較検討することが大切です。

選び方④自社がどこまで対応できるか?

4つ目は「自社がどこまで対応できるか?」です。いざという時に「保証会社がどこまでやってくれるか」だけでなく、まず自社が事故発生時にどこまで対応できるかを整理しておくことが重要だと考えられます。

例えば、引き渡しから10年以上経過した住宅で雨漏りが発生したケースを考えていきます。通常の延長瑕疵保険に加入していれば、その雨漏りが施工上の瑕疵によるものであれば修理費用は保険で補償されます。

しかし、実際の原因調査や補修工事の手配は、多くの場合、住宅会社は現地調査をし、原因が経年劣化か瑕疵かを判断し、保険会社とやりとりして保険金請求し、補修業者を手配し…と、一連の対応を担う場面が多くなるでしょう。ここで社内に経験者がいない、判断基準が標準化されていない、協力業者の手配に時間がかかる、といった状態だと、対応が長引いてしまい、結果として信頼を損ねるリスクにもつながり得ます。

一方、長期保証サービスによっては、こうした事故発生時の対応を包括的にサポートしてくれるものがあります。具体的には、保証会社が専門の検査員を派遣して現地で原因調査を行い、瑕疵か否かの判定に協力してくれたり、必要に応じて補修工事会社の手配までサポートしてくれたりします。

もし自社だけで対応が難しい領域がある場合は、事故調査や補修手配の支援など、不足する部分を補完できるサービスを検討することも1つの選択肢です。重要なのは「どちらが正しいか」ではなく、事故が起きた瞬間にお施主様を不安にさせず強い関係がつくれる体制をつくれるかという観点で、自社がどこまで対応できるかを見直すのはいかがでしょうか。

自社の目的に合った長期保証サービスを選択しましょう

長期保証サービスは一概に「これが正解」というものはなく、自社の経営方針やリソース、お施主様に提供したい価値によって最適解が異なると考えられます。だからこそ、前述のような視点で自社にフィットするサービスかどうか吟味することが大切です。

「なんとなく業界で流行っているから」「他社もやっているから」という理由で流行りや他社の動向を参考にしつつも、最終的には『自社の目的に叶うか』を最優先する。そんな本質的な選択を大切にされる住宅会社様が、今とても増えています。

無理のない運用でお施主様と長期的な関係性をつくる観点でいうと、たとえば当社の「建物サポートシステム」は、構造・防水など基本性能の長期品質保証に加え、定期的な点検や万が一の事故調査のサポートまで一体で行う仕組みを整えています。金銭的な補償というより、お施主様の安心が続く状態をつくるサービスとして、有効な選択肢の1つだと考えています。

自社のリソースや体制に合わせて、どこまでを自社で担い、どこを外部の仕組みに任せるのかを整理できれば、「建てた後も頼れる会社」として信頼を積み上げやすくなるでしょう。詳しい内容は、ぜひ建物サポートシステムを参考にしてみてください。

ジャパンホームシールド編集部
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