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建物長期保証だけではカバーできないシロアリ対策の必要性

新築住宅会社にとって、お施主様やOB顧客のアフターフォローは、追加受注の獲得として重要な取り組みです。しかし今、アフターサポートの現場では、対応の遅れや人手不足が常態化していることで、お施主様の満足度や評価の低下が起きるリスクもあります。

そこで本記事では、お施主様の視点から見たアフターサポートの現状と不満点を整理し、対応不足を放置することで起きるリスク、そして今すぐ実行できる具体的な解決策を解説します。

この記事で分かること=========

・引き渡し後の事故、トラブルの内訳

・建物長期保証がカバーできる範囲の限界

・シロアリ対策と防蟻保証の重要性
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目次[非表示]

  1. 1.調査データから見る「引き渡し後の事故・トラブル」
    1. 1.1.引き渡し後の事故発生内訳
    2. 1.2.高耐久部材より重要な「サポート範囲の広さ」
  2. 2.シロアリ被害のリスクと防蟻保証の重要性
    1. 2.1.構造・防水保証ではカバーできないシロアリリスク
    2. 2.2.シロアリ対策しても被害リスクはゼロにならない
    3. 2.3.物理的な侵入ブロックの対策や万が一に備えた保証を
  3. 3.構造・防水とシロアリ対策のセットで保証範囲を広く

調査データから見る「引き渡し後の事故・トラブル」

調査データから見る「引き渡し後の事故・トラブル」

住宅の引き渡し後に発生する事故やトラブルは、多くの住宅会社が想定しているものとは異なる傾向を示しています。高耐久部材の採用によって構造の長期保証を実現しても、実際に発生する事故の大半は別の箇所で起きているのが現状です。

ここでは、客観的な調査データをもとに、引き渡し後にどのような事故が実際に発生しているのか見ていきます。

引き渡し後の事故発生内訳

事故発生内訳

住宅瑕疵担保責任保険の実績データによると、保険金の支払いのうち約95%が雨水の浸入(雨漏り)に関する事故であり、構造躯体に起因する事故はわずか数%にとどまっています。(※1)

一方で、引き渡し後に起こる別の深刻なトラブルとして、シロアリ被害のリスクも無視できません。とくに築年数の経過とともにリスクが高まる傾向にあり、国土交通省の調査によれば、築10年未満では5%程度だった被害発生率が、築15年超で10%超、築20〜30年で約20%に達するというデータもあります。(※3) これは、築30年までに5軒に1軒が被害を受けるという計算になり、安易に見過ごせません。

構造事故が1万戸に1件という極めて低い発生率であるのに対し、シロアリ被害は築20〜30年で5軒に1軒という高い発生率を示している点は、住宅会社として注視すべき重要なデータではないでしょうか。

※1出典元:日経XTECHー日本住宅保証検査機構「保険金支払いの95%は雨漏り」2024年5月

※2出典元:日本住宅保証検査機構「弊社の保険業務の取組について」2019年6月

※3出典元:国土交通省 「シロアリ被害実態調査報告書 」2013年3月

高耐久部材より重要な「サポート範囲の広さ」

耐久性能に優れた構造・防水部材の採用は、資産価値を長く維持し、住宅の本質的な品質を高めます。実際、高耐久部材の採用によって初期20年の構造・防水保証を実現するサービスも登場しており、コスト面でのハードルが下がってきています。

しかし、どれだけ高性能な部材を使っても、シロアリ被害のように構造とは直接関係しない経年劣化や環境起因のリスクは依然として存在するのではないでしょうか。前述のデータが示すとおり、構造事故の発生率は極めて低い一方で、シロアリ被害は築年数の経過とともに確実に発生確率が上昇していきます。

そのため、高額な部材に頼るだけでなく、実際に発生する事故への備えとして、幅広いリスクに対応する保証範囲の設計がますます重要になってきています。お施主様にとって、発生率の低い構造事故だけをカバーするものではなく、実際に起こりうる多様なトラブルに対応できる包括的なサポート体制が重要ではないでしょうか。

シロアリ被害のリスクと防蟻保証の重要性

	シロアリ被害のリスクと防蟻保証の重要性

では、先ほどのデータを踏まえ、ここではシロアリ被害のリスクと、それに対応する防蟻保証の必要性について詳しく見ていきます。

構造・防水保証ではカバーできないシロアリリスク

シロアリによる被害は、瑕疵保険でも建物長期保証でも対象外となることが多く、補償を受けられないケースが大半です。

住宅火災保険など他の損害保険でも、生物被害として対象外となるのが一般的です。また、木造住宅の場合、シロアリ被害の補修費用は規模によって数十万円から数百万円に及ぶこともあります。

これはつまり、瑕疵保険や建物長期保証によって構造・防水の保証が整っていても、シロアリ被害が発生した場合は施主の自己負担となる可能性が高いというわけです。

シロアリ対策しても被害リスクはゼロにならない

「新築時に防蟻処理を施しているから大丈夫」と考える住宅会社もあるかもしれません。しかし実際には、新築時の処理だけに頼り、その後はお客様任せにしてしまうと、長期的なリスクを適切に管理することはできません。

お客様が適切に対応するかどうかはわからず、そのままでは住宅の品質を維持することも困難です。薬剤の効果は時間とともに低下し、建物周辺の環境変化によって新たな侵入経路が生まれることもあります。だからこそ、初期対策だけでリスクをゼロにすることは不可能であり、住宅会社が主体となって長期的にフォローする体制を整えることが不可欠です。

物理的な侵入ブロックの対策や万が一に備えた保証を

だからこそ、防蟻シートによる物理的な侵入経路を防ぐ対策や、防蟻保証サービスの導入も、シロアリ対策として重要です。近年は、薬剤だけに頼らず、物理的にシロアリの侵入をブロックする「防蟻シート」の施工も注目されています。

たとえば「ターミダンシート」は、シロアリが嫌がる忌避成分を含んだ特殊シートで、床下など侵入経路になりやすい部位に敷設することで、初期20年間のシロアリ対策を実現します。薬剤処理と異なり、物理的なバリアとして機能するため、環境への影響も少なく、長期的な効果が期待できる点が特徴です。

また、万が一シロアリ被害が発生した場合に備えて、防蟻保証を付帯することで、お施主様の経済的リスクを軽減できます。防蟻施工と保証をセットで提案することで、お施主様に対する総合的なサポート体制として、良い評価が期待できるでしょう。

構造・防水とシロアリ対策のセットで保証範囲を広く

	構造・防水とシロアリ対策のセットで保証範囲を広く

耐久性の高い構造・防水部材の採用は、住宅の品質向上と長期保証の確保に寄与しますが、それだけで住宅全体のリスクをカバーできるわけではありません。たとえば、雨漏りとシロアリ被害が同時に発生するなど複合的な事故が起きることも少なくありません。こうした事象は、個別保証だけではカバーしきれず、幅広い補償範囲や診断・点検体制の整備が重要になってきます。

特にシロアリ対策では、「高耐久防蟻部材」も存在し、薬剤に頼らず長期間シロアリの侵入を物理的に防ぐ素材や施工法が登場しています。たとえば防蟻シートや防蟻処理材は、構造躯体を長期間守ると同時に、住宅の価値を維持しやすくする重要な手段とも言えるでしょう。

当社の建物長期保証サービス「建物サポートシステム」では、一般的な戸建住宅に20年初期保証を提供するサービスでは、防蟻施工基準を満たした建物を対象に初期20年の防蟻保証をオプションで付帯することが可能です。構造・防水のトラブルだけでなくシロアリ被害にも併せて備えておくことで、引き渡し後に起こりうるトラブルや事故を幅広くカバーできます。建物長期保証サービスをご検討の際は、ぜひ防蟻保証も視野に入れてみてください。

ジャパンホームシールド編集部
ジャパンホームシールド編集部
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