
建物長期保証サービスを選ぶポイント5選
住宅会社にとって、建物長期保証はお施主様の満足度を高める重要なアフターサービスの1つです。しかし、建物長期保証を選ぶ時、サービスごとで何が違うのか、どのような基準で選べばいいか悩むことはないでしょうか。多くの住宅会社が初期20年間の建物長期保証で差別化を図りたいと考えている一方で、どのサービスも似たような内容に感じられ、明確な選定基準が見えないのが現状です。。
そこで今回は、建物長期保証サービスを選ぶポイント5つと、導入時の注意点について解説します。
この記事で分かること=========
・建物長期保証サービスを選ぶ5つのポイント
・建物長期保証サービス導入における2つの注意点
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目次[非表示]
建物長期保証サービスを選ぶ5つのポイント
建物長期保証の導入を検討する際、単純に保証期間の長さだけで判断するのは適切ではありません。
ここでは、実際に建物長期保証サービスの運用場面を想定しながら、重要な選定ポイントを5つご紹介しましょう。これらの観点を押さえることで、他社との明確な差別化を図れると考えます。
ポイント①平時での対応
1つ目は「平時での対応」です。建物長期保証サービスは、事故が発生したときにだけ効果を発揮するものではありません。平時から建物の品質を維持するために、点検・メンテナンスの代行も追加で対応依頼できるかがポイントとなります。
たとえば、第三者機関が提供する初期20年間の建物長期保証サービスの中には、10年目を迎える前に専門的な点検を実施するサービスがあります。さらに15年目には、任意ではありますが点検を推奨しており、その作業を代行してくれる会社も存在するのです。このように継続的なメンテナンス体制により、事故やトラブルの早期発見と予防対策が可能になります。
結果として、お施主様の経済的負担を軽減できるだけでなく、住宅の資産価値維持への貢献も十分に期待できるので、これこそがお施主様も期待している「事故が起こらないよう備える」と言えるのではないでしょうか。
ポイント②瑕疵保険期間中の対応
2つ目は「瑕疵保険期間中の対応」です。住宅の引き渡し後もサポートが受けられるかは、サービス選定において重要なポイントです。
たとえば、瑕疵保険期間中でも相談に乗ってくれるか、事故やトラブルの発生時にサポートしてくれるか、また引渡し前の万が一の事故もサポートしてくれるかを見るといいでしょう。もしその相談相手が専門技術の知見を持っていると、技術的な相談もその場で回答してくれるので、対応の手間を大幅に省けます。
このように瑕疵保険期間中でも一貫してサポートしてくれるサービスは、住宅会社のお施主様への対応負担を軽減してくれるので、ぜひ建物長期保証サービスを選ぶときに確認してみてはいかがでしょうか。
ポイント③事故発生時の対応
3つ目は「事故発生時の対応」です。住宅に不具合や事故などのトラブルが発生した時に、サービスの提供会社がどのように対応してくれるかも重要な判断材料です。一時的な応急処置だけでなく、根本的な問題解決に向けた専門的対応としてお施主様からも安心される対応だからです。
たとえば、雨漏り事故を例に挙げると、「どのように問題個所を補修したのか」という表面的な対処だけではなく、「何が原因で雨漏り事故が発生したのか」「根本的な問題はどこか」という本質的に調査することは、事故再発を防止するうえで重要になります。自信をもって説明してくれる専門技術者がいると、住宅会社としてもお施主様としても安心できるでしょう。
このように、事故発生時の対応として技術的な根拠に基づいて説明できることは、お施主様との信頼関係をより強固なものにする効果も期待できるのです。
ポイント④事故調査の方法
4つ目は「事故調査の方法」です。現場でトラブルが起きた際に、そのトラブルの原因を根本から調査できているかも重要なポイントです。調査の際は、表面的な症状だけを見て判断するのではなく、構造的・技術的な観点から徹底的に原因を究明する能力が求められます。
たとえば、雨漏り修理において、目視で観察できない場所に原因がある場合、その原因の特定は極めて困難です。さらに、事故原因の場所は必ずしも一箇所とは限らないため、複合的な要因を考慮しながら事故の根本的な原因を見極める技術力はとても重要になります。こうした課題に対応するため、雨天時の雨漏現象を再現する「レインボービューシステム」を用いて、根本的な原因にあたる雨水の浸入口を確認する手法も活用されています。
こうした最新の調査技術や機器を活用して、目に見えない「根本的な問題原因」を詳細に調査できる体制を持ったサービスを選ぶことも重要でしょう。もし原因をきちんと突き止めないまま応急処置を行うと、事故が再発するリスクが高まるため、手間もコストも余計にかかってしまいます。
ポイント⑤保証金額
5つ目は「保証金額」です。万が一重大な欠陥が発生した場合、原状回復に対してどこまで費用が補償されるかを事前に把握しておくためにも、補償金額の上限について抑えておくことが重要です。
たとえば、住宅瑕疵保険では、引き渡してから10年間を対象に、1戸あたり通常2,000万円(オプションで延長可能)まで保険金が支払われるのが一般的です。一方で、ある第三者機関の保証サービスでは、住宅瑕疵保険期間を過ぎた11年目以降も最大1,000万円の金額を保証することが可能です。通常は11〜20年が対象期間となりますが、長期間にわたる保証期間はお施主様にとって大きな安心材料になるでしょう。
ただし、金額の大きさだけでなく、どのような損害がどの範囲まで対象となるかを詳細に確認することが重要です。実際の事故発生時に「想定していた補償が受けられない」という事態を避けるため、保証の適用条件や除外項目についても慎重に検討する必要があります。
建物長期保証サービス導入における2つの注意点
これまで建物長期保証サービスの選定ポイントについて詳しく解説してきましたが、導入時には慎重に検討すべき注意点も存在します。特に長期間にわたるサービスである以上、現在の状況だけでなく将来的な変化も想定した準備が必要です。
ここでは、実際の導入・運用決定段階で直面しやすい2つの重要な注意点について紹介します。
注意点①将来の人手不足による代行依頼も想定しておきましょう
サービス契約時は社内に人手が足りていたとしても、10年15年先も同じく人手が確保できているとは限りません。経営環境の変化や人材の流動化により、社内事情が大きく変わる可能性を常に想定しておく必要があります。
その際は、外部に代行依頼したい場合が発生することも想定しておくといいでしょう。仮に人員が足りていたとしても、点検や事故調査、補修工事など、専門知識や技術がないスタッフでは、品質を維持して実施することは難しいかもしれません。
このような状況に備えて、定期点検やインスペクションも実施している保証会社を選択することが賢明です。将来的な業務負荷を軽減しながら、一定の品質水準を維持できる体制を構築しておけば、長期的にお施主様との関係構築につながり追加受注や口コミによる紹介も期待できます。
注意点②点検や調査の技術力があるか確認しましょう
平時での点検と、有事での事故調査において、担当スタッフにその技術力があるかどうかは簡単に判断できません。
外見や営業トークだけでは、実際の技術レベルを正確に把握することは難しいので、サービスまたは会社の実績を詳細に確認しましょう。特に、事故の原因の多くは雨漏り事故のため、雨漏り事故に関する知見をもったスタッフがいるか要チェックです。というのも、事故の発生・再発を防ぐ技術があるスタッフがいると、事故が起きない、または事故が起きにくい住宅としてお施主様から評価されるからです。
たとえば、雨漏りの原因究明には高度な専門知識が求められますが、保証会社によってはそうした専門技術者チームを社内に抱えている会社も存在します。また実績が豊富な会社であれば、点検から調査の手配・実施までワンストップで任せられるので、お施主様への対応の負担軽減も期待できるでしょう。
このように、表面だけでは評価できない点検や調査の技術力も、過去の実績や事例を通じて客観的に評価することで、事故を起こさせない「信頼できるパートナー」として選ぶことができるでしょう。
事故が起きない仕組みづくりの視点で、建物長期保証サービスを選びましょう
お施主様の安心を長く守るためには、平時でも有事でも支援できる保証体制が重要です。単純に事故発生後の金銭的な補償だけでなく、そもそも事故を未然に防ぐ予防的なアプローチこそが、お施主様が期待する建物長期保証ではないでしょうか?
そのためには、金銭解決だけではなく、事故が起きない仕組みづくりの視点をもつことが重要です。定期的な点検による早期発見、専門的な調査による根本原因の究明、そして再発防止に向けた確実な対策実行。これらの要素を考慮して建物長期保証サービスを選ぶ際に、少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。
当社では、10年目を迎える前の点検や万が一の事故発生時の原因調査などの高い「技術力」を備えた検査体制をもつ、建物長期保証サービス"建物サポートシステム"をご用意しています。建てる前も後も品質を保証できるサービスとしてぜひ検討してみてください。