
【新築住宅会社は必見】 OB顧客の需要を獲得する3つの方法
近年、国の住宅政策は住宅ストックの活用促進へ舵を切っており、新築住宅会社にとってOB顧客のフォローや、アフターサポートに関する相談先を失った施主への対応は、信頼構築と事業拡大のカギになりつつあります。人口減少による新築需要の縮小が進む中、既に関係を築いたOB顧客やアフターサービスを求める顧客層へのアプローチは、今後の企業成長において不可欠な要素です。
そこで本記事では、OB顧客とアフター難民の実態や行動傾向を踏まえて、新築住宅会社がアフターサポートの相談先を失ったOB顧客の需要を獲得する方法を3つご紹介します。
この記事で分かること=========
・2025年のOB顧客市場の動向・ニーズ
・OB顧客の獲得方法3つ
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目次[非表示]
2025年|中古住宅市場の動向とOB顧客のニーズ
住宅業界を取り巻く環境と需要は大きく変化しており、新築住宅から既存住宅を軸とした事業展開への転換が求められています。特に注目すべきは、新築住宅会社のOB顧客の市場拡大と、そこに潜むOB顧客の多様なニーズの存在です。
ここでは、中古住宅市場やOB顧客市場の動向について詳しく見ていきます。
新築減少と中古流通・リフォーム市場の拡大
新設住宅着工戸数が減少する一方で、既存住宅流通とリフォーム市場は拡大傾向にあります。実際に、政府目標では2018年時点の約12兆円規模から、2030年に14兆円、長期的には20兆円規模へ市場を拡大させる方針が出ています(※1)。
また、既存住宅の買取再販市場も堅調に伸びており、2023年の買取再販成約戸数は前年比2.4%増の約4.2万戸、2030年には約5万戸(2022年比22%増)に達する見通しもでています(※2)。新築着工が減る「ストック住宅時代」において、OB顧客へのサービス強化が、住宅業界の今後の重要なテーマになることが十分に伺えます。
※1出典元:リフォーム産業新聞「リフォーム業界の市場規模は?2025年最新動向や将来性を解説」2025年3月
※2出典元:suumoジャーナル「中古住宅買取再販市場は2030年に22%増の5万戸へ。市場拡大の理由とは?買取再販物件の購入ポイントも解説!」2023年10月
リフォーム会社による積極的なOB顧客の囲い込み
先ほどご紹介した中古住宅市場の拡大を受けて、リフォーム専門会社が積極的に新築住宅会社のOB顧客を囲い込む事例は顕著になっています。
たとえば、大手リフォームチェーンや地元のリフォーム会社は、過去に接点のあった顧客リストに対しDM(ダイレクトメール)や定期点検サービスを提供することで、次回工事のタイミングを逃さない工夫で需要を囲い込んでいます。
他にも、とある外壁塗装会社では、塗装後1年目・3年目・5年目に自主点検を行い、その後も定期DMやショールームでの月例勉強会で、新築住宅会社のOB顧客との交流を継続しているのです。
このようにリフォーム会社は、新築住宅会社のOB顧客への取り組みを通して接点をつくり、ほかの住まいに関する悩みやニーズを聞き出すことで、追加発注へつなげています。つまり、せっかく新築で受注したOB顧客のアフター需要は、新築住宅会社が施主と継続的に接点をつくれないと、リフォーム会社に取られてしまう可能性が高まるというわけです。
アフターサポートの相談先を失った施主はどうしている?
また、もしOB顧客との接点がなくなると、施主がアフターサポートに関する相談をしたいと考えたときに、新築住宅会社へ相談する可能性も低いでしょう。なぜなら、接点がなくなった会社とは距離感を感じるようになり、気軽に相談できる相手として見ないからです。新しい相談先として、第三者のアフター専門業者やホームセンター、そしてリフォーム会社へ相談することも十分に考えられるでしょう。
仮に接点が作れたとしても、OB顧客のニーズに合ったアフターサービスを提供できなければ、他社に相談が流れてしまうのは言うまでもありません。ニーズに応えられなかった事実が増えてしまうと、満足のいく信頼関係が築けず、距離感がどんどん広がっていきます。
貴社のOB顧客だけに限らず、他の新築住宅会社のOB顧客も同様に、アフターサポートの相談先を失っている施主は少なくありません。
OB顧客のアフターサービス需要を獲得する3つの方法
では、アフターサポートの相談先を失った新築住宅会社のOB顧客に対して、具体的にどうアプローチして接点をつくり需要を獲得していけばいいのでしょうか。
ここでは、新築住宅会社ができる「OB顧客のアフターサービス需要を獲得する3つの方法」についてご紹介します。
獲得方法①OB顧客への情報提供
まず1つ目の獲得方法として、OB顧客へ積極的に情報を提供することが大事です。
たとえば、自社に新築住宅を契約してくれたOB顧客たちを招いた感謝祭や交流イベントを行う「OB会」やメルマガ配信を通して、点検やメンテナンスなどに関するお役立ち情報を提供することです(※3)。
ほかにも、OB顧客に向けて住宅の手入れ方法やリフォーム事例を紹介するセミナーを開き、リフォームに関するキャンペーン情報を定期発信することで、最終的に「そろそろ外壁塗装をしませんか」「水回りリフォームしませんか」といった提案へつなげている会社もいます。
このように、OB顧客との接点を継続的につくりながら住宅メンテナンスの重要性を啓発することで、住宅の安全性や品質に対する意識向上と潜在的なニーズの掘り起こしが期待できます。
※3出典元:工務店マーケ「住宅営業・集客におけるアフターフォロー・アフターサービスの重要性」2023年1月
獲得方法②アフターサービスのパッケージ化
2つ目の獲得方法は、アフターサービスをパッケージ化して提案することです。具体的には、1つ目の情報提供だけではなく、「水回りでこんな状態になっていませんか?」「築10年目の前に建物を点検しませんか?」といった提案をして、サービス受注へつなげていく方法です。
このアプローチは、社内で蓄積されている定期点検やインスペクションなどの専門知識・技術を活用することで、OB顧客の細かいニーズへ幅広く対応できる大きなメリットがあります。もし社内に専門知識や技術がない場合は、専門知識・技術を持つ第三者機関と連携することで、そのニーズをカバーできるでしょう。
獲得方法③IT活用による顧客フォロー
3つ目の獲得方法は、IT活用による顧客フォローです。最近では工務店と施主をつなぐスマホアプリやクラウドCRMを活用したアフターサービスも普及し始めています。専用アプリを通じてOB顧客と新築住宅会社がつながることで、住まいに関する相談や不具合に関する連絡、修理依頼を気軽にできる仕組みを構築することで、受注につなげます。
例えば、とある工務店向けサービスでは、引渡し後の施主とのチャット相談や点検履歴管理が可能で、顧客満足度向上とリピート受注に役立てられています。従来の電話やFAXによる連絡手段と比較して、顧客の利便性が大幅に向上するため、住宅定期点検の予約率向上や緊急時の迅速な対応ができるようになっています。
また、デジタルデータとして蓄積された履歴情報を活用することで、過去のインスペクションや点検結果など建物の状態を統合的に把握できるので、リフォーム提案の根拠としても活用できるでしょう。
外部と連携したOB顧客へのアフターフォローも検討しましょう
以上、OB顧客の需要を獲得する3つの方法について解説しました。中古住宅市場が拡大する現在、インスペクションや定期点検といったアフターサービスを充実させることの重要性はどんどん高まっています。まさに今こそ"建てて終わり"ではなく、”建てた後も守り続ける住宅会社"へ転換することが、実はOB顧客も求めているのではないでしょうか。
アフターサービスは専門性が高いことから、社内で対応できる職人が少なく、社内に知識や技術を継承している会社は多くありません。だからこそ、外部の専門機関と連携してOB顧客をフォローする体制を作ることも、選択肢の1つとして検討できるのではないでしょうか?メンテナンスや住宅診断をきっかけに、ぜひOB顧客と接点をつくってみてください。
当社では、住宅診断(インスペクション)を代行するサービス「住宅インスペクション」を提供しています。これからOB顧客の需要を獲得するための提案のきっかけとして、本サービスがお役に立てれば幸いです。