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カギは接点づくり?OB顧客のリフォーム需要を獲得する6つの方法

新築住宅市場が縮小している現在、事業の多角化による新しい成長戦略が重要だと考えている住宅会社が増えています。その事業の多角化として既存住宅市場への参入は有効であり、中でもリフォーム需要の獲得は業界内でも注目されているようです。引き渡し後にOB顧客との関係が途切れてしまうと、せっかくのOB顧客からのリフォーム需要も他社に流れてしまうかもしれません。

そこでこの記事では、OB顧客との継続的な接点の必要性を踏まえたうえでリフォーム需要を獲得する方法についてご紹介します。

この記事で分かること=========

・既存住宅業界の参入チャンス

・OB顧客から問い合わせがこない理由

・OB顧客のリフォーム需要を獲得する方法

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目次[非表示]

  1. 1.既存住宅業界への参入の重要性
    1. 1.1.既存住宅流通とリフォーム市場の拡大
    2. 1.2.国が取り組む既存住宅市場の活性化
    3. 1.3.OB顧客との継続的な接点がリフォーム受注へ
  2. 2.なぜOB顧客からリフォームの問い合わせがこないのか?
    1. 2.1.理由①誰に連絡すればいいか分からないから
    2. 2.2.理由②「新築会社には言いづらい」と遠慮されるから
  3. 3.新築住宅会社がOB顧客のリフォーム需要を獲得する6つの方法
    1. 3.1.①はがきやカレンダーの配布
    2. 3.2.②イベント実施
    3. 3.3.③定期点検
    4. 3.4.④インスペクション
    5. 3.5.⑤メンテナンス
    6. 3.6.⑥中古住宅保証
  4. 4.自社に合った方法で、OB顧客と継続的に接点を作りましょう

既存住宅業界への参入の重要性

ここでは、既存住宅市場がなぜ重要なのか、その背景と可能性について掘り下げていきます。

既存住宅流通とリフォーム市場の拡大

政府は2018年時点で、約12兆円だったリフォーム市場を2030年に14兆円、将来的には20兆円規模へと引き上げる方針を掲げています(※1)。また買取再販の成約戸数は、2023年に前年比2.4%増の約4.2万戸となり、2030年には約5万戸に達する見通しです(※2)。この方針と傾向からも、政府はストック住宅への対応強化を業界全体の課題として位置づけていることが読み取れます。

そしてリフォーム専門会社は、ダイレクトメッセージ(DM)や自主点検、勉強会などを通じてOB顧客との接点をつくり、需要を獲得しようとアプローチしているのが実態です。

住宅は、経年とともにメンテナンスやリフォームの需要が発生します。しかし、新築時に築いた顧客との関係を継続できなければ、リフォーム需要が発生しても他社に奪われてしまうリスクも高まります。リフォーム市場の拡大は、裏を返せば競争の激化も意味しており、自社で建てた住宅のアフターフォローを他社に任せてしまう状況は、ビジネス機会を十分に活かしきれない結果となるかもしれません。

※1引用元:リフォーム産業新聞「リフォーム業界の市場規模は?2025年最新動向や将来性を解説」2025年3月

※2出典元:suumoジャーナル「中古住宅買取再販市場は2030年に22%増の5万戸へ。市場拡大の理由とは?買取再販物件の購入ポイントも解説!」2023年10月

国が取り組む既存住宅市場の活性化

国が本格的に既存住宅市場の活性化策を進めている中、補助金制度として代表的なのが「大型リフォーム補助制度の継続」です。

たとえば、2023〜2025年に実施された「住宅省エネ2025キャンペーン」(※3)の後継として2026年度も省エネリフォーム補助金が継続されることが決定しました。この決定により、2025年に申請が間に合わなかった人も恩恵を受けられるようになり、お施主様のリフォーム意欲を高める大きな後押しとなったようです。

またリフォーム補助制度のほかにも、住宅ローン減税(住宅借入金控除)も延長・拡充されることが2025年12月に発表されました(※4)。もともと2025年で終了予定だった減税措置は5年間延長され、2030年入居まで適用されます。良質な既存住宅を購入する場合の借入上限額引き上げや控除期間の優遇など、中古住宅取得者に有利な改正が、今回の住宅ローン減税延長に盛り込まれています。

こうした既存住宅の購入を後押しする国の制度もあり、住宅会社にとっては、これらの制度を活用したリフォーム提案が可能になり、お施主様にとって経済的にも精神的にもハードルが下がっているタイミングと言えるでしょう。

※3引用元:子育てグリーン住宅支援事業事務局「住宅省エネ2025キャンペーン【公式】

※4引用元:国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!」2025年12月

OB顧客との継続的な接点がリフォーム受注へ

こうした既存住宅市場の活性化に向けた政策や市場拡大の兆しを受けて、実際にOB顧客との接点を継続している住宅会社の中には、リフォーム受注につなげている事例も見られます。

たとえば、定期点検をきっかけに浴室や外壁などのリフォーム提案へつなげたり、DMやイベントを通じて住まいに関する相談が寄せられるケースもあるようです。

このような事例からも、リフォーム需要の獲得には「OB顧客との接点を維持していたかどうか」が重要だと分かります。逆に言えば、OB顧客との接点が途切れることで、貴重な提案機会を失ってしまう恐れがあるというわけです。

なぜOB顧客からリフォームの問い合わせがこないのか?

OB顧客との継続的な接点が重要だとご紹介しましたが、OB顧客との接点が重要だと分かっていても、実際には引き渡し後に連絡が途絶えてしまうケースは少なくありません。「うちの会社は良い家を建てているのに、なぜかリフォームの問い合わせがこない」と感じている住宅会社も多いのではないでしょうか。

ここでは、OB顧客が新築住宅会社へ問い合わせしない理由について考察していきます。

理由①誰に連絡すればいいか分からないから

住宅会社にとって、新築を引き渡した後もOB顧客からお声掛けしてもらうことは極めて重要です。しかし、OB顧客からは「連絡しようと思っても、誰にどう連絡していいか分からなかった」という声が聞こえることもあります。新築時の担当者が異動・退職していたり、やりとりの履歴が残っていない場合、連絡をためらう場合もあります。

たとえば、新築の引き渡しから5年が経過し、OB顧客が外壁の劣化が気になり始めたとき、「あの時の営業担当者はもういないかもしれない」「会社の代表番号にかけて、一から説明するのは面倒だ」と感じてしまうケースも考えられるのではないでしょうか。

結果、他社の専門チラシやホームページに流れてしまうことも珍しくありません。特に住宅のポストに入ってくるリフォーム会社のチラシには、「水回りリフォーム専門」「外壁塗装実績○○件」といった情報と連絡先が記載されており、問い合わせしやすいようデザインされています。

自社で建てた住宅であるにもかかわらず、こうした連絡窓口が分かりやすく、「ちょうど今」検討しているタイミングに、チラシ1枚で他社に相談が流れてしまうこともあるということです。

理由②「新築会社には言いづらい」と遠慮されるから

ほかにも、ちょっとした不具合や小規模工事の相談ほど、お施主様は新築会社へ遠慮してしまいがちです。

たとえば、「ドアの立て付けが悪い」「手すりを一箇所追加したい」程度の小さな困り事の場合、長らく連絡を取っていない住宅会社には「こんなことで連絡したら悪いかな?」「うちの施工会社はリフォームはやっていないのでは?」と思い込まれてしまいます。結果、他社のリフォーム会社に依頼したり、そのまま不具合を放置してしまう事態になっているわけです。

このように、新築時には頻繁に連絡を取り合っていた関係性も、引き渡し後に接点が途切れてしまえば、相談しづらくなるリスクも考えられます。

OB顧客にとって、自宅を建ててくれた会社は一番家のことを理解している存在ですから、本来であれば困り事があれば相談したいはずです。しかし、あからさまに営業色の強い連絡ばかりでは構えてしまい、「また工事を売りつけられるのでは」と敬遠されてしまいかねません。

そうではなく、日頃から暮らしに役立つ情報提供や気軽なコミュニケーションを通じて「相談しやすい雰囲気」をつくることが重要でしょう。大切なのは「御社はお客様のことをずっと気にかけています」という姿勢を伝えることであり、暮らしに役立つ情報提供を続けることなのです。

新築住宅会社がOB顧客のリフォーム需要を獲得する6つの方法

では、実際にOB顧客との継続的な接点を維持し、リフォーム需要を獲得するには、どのような方法があるのでしょうか。

ここでは代表的な6つの施策について、それぞれの特徴と視点を整理します。自社に合ったアプローチを検討される際の、一つの材料としてお役立てください。

①はがきやカレンダーの配布

年末年始や季節のあいさつなどに合わせて、はがきやカレンダーなどを送ると、住宅会社を思い出すきっかけになります。ただの営業活動ではなく「気にかけてもらっている」という感覚を持ってもらえることで、住まいに関するちょっとした困りごとを相談しやすくなる土台づくりにもつながると考えられます。

たとえば、季節の変わり目には「外壁の状況はお変わりないですか?」「台風シーズンに備えて、点検しませんか?」といったはがきを送ることで、自然な形で住まいのメンテナンス意識を喚起することができます。

また、カレンダーには会社の連絡先や担当者名を記載しておくことで、相談したいときにこのカレンダーを思い出してくれるでしょう。特に高齢の施主にとっては、デジタルツールよりも紙媒体の方が親しみやすく、手元に残しておきやすいという利点もあります。

費用や工数を抑えつつ、継続的な関係性を維持しやすい手段のひとつと言えるでしょう。

②イベント実施

相談会や夏祭り、ワークショップなど、地元の地域性に合わせたイベントの開催も1つです。

たとえば、暮らしに関する小さな相談を気軽に持ち込めるリフォーム相談会や、家族で参加しやすい夏祭り・もちまきイベントなどを実施することで、「また相談してみようかな」と思い出すきっかけづくりになります。イベントを通じて顔を合わせる機会をつくることで、心理的に距離感を縮め、気軽に連絡できる関係性が期待できるでしょう。

ある地方の住宅会社では、OB顧客限定の感謝祭を年に1回開催し、住まいの困りごと相談コーナーを設けたところ、その場で小規模なリフォーム依頼につながるケースが増えたという事例もあります。また、子育て世代向けにDIYワークショップを開催することで、家族ぐるみの関係性が深まり、将来的な増改築の相談につながることもあるでしょう。

イベントの目的を「売り込み」ではなく「関係性の維持」に置くことが成功のポイントです。

③定期点検

多くの住宅会社は引き渡し後1年や2年で無償点検を行いますが、リフォーム需要の獲得という観点では計画的に点検機会をつくることも重要です。

たとえば工事完了から3ヶ月後、半年後、1年後と節目ごとに無料点検サービスを案内しつつ、10年目以降も定期巡回を続けることで、OB顧客の建物の様子を把握することができます。

実際にジャパンホームシールド社の調査によると、20年目までに実施している定期点検で最も多かった回数は「4回」と、回答者全体の22%でした(※5)。建物の品質を維持し続けるための定期点検を通じて、このように、一部の住宅会社は顧客と対話する機会を自然とつくっているわけです。

また、点検結果を記録として残しておくと、経年変化を把握でき、適切なタイミングでの提案が可能になります。定期点検を通じて「この会社は本当に私たちの家を気にかけてくれている」と感じてもらえれば、リフォームのタイミングで真っ先に声がかかる存在になれる事が期待できるでしょう。

※5引用元:ジャパンホームシールド社「建物長期保証に関するアンケート調査」(n=68) 2025年7月

④インスペクション

インスペクションは、専門業者が住宅の劣化状況や不具合の有無を調査するものです。中古住宅売買時に行われる用途だけでなく、OB顧客向けにも活用できます。

たとえば築15年・20年といった節目に提案し、住宅の健康診断を実施すれば、劣化箇所や将来必要となる補修項目を把握できるので、事故予防の提案へつなげられます。また、インスペクションを実施することで、現時点での住宅の資産価値を評価できるメリットもあります。

将来的に売却や相続を考えているOB顧客にとっても、建物の状態を記録しておくことは売買時の重要な判断材料になるでしょう。

⑤メンテナンス

住宅は年月とともに様々な部位のメンテナンス時期が訪れるため、OB顧客に対して事前に「○年目にはこれらのメンテ工事が必要になります」と知らせておくと良いでしょう。

たとえば木造住宅の場合、外壁の塗り替えやシーリング打ち直しは10〜15年毎、シロアリ防蟻処理は5年毎が目安です。こうした周期に合わせて、「○年目メンテナンスパック」のような商品を用意し案内すると、施工業者も計画を立てやすくなります。

また、メンテナンスの必要性を説明する際には、「放置するとこのようなリスクがあります」という扇動的な表現ではなく、「定期的にメンテナンスを行うことで、住宅の寿命が延び、事故予防にもつながります」というポジティブなメッセージとして伝えることが重要でしょう。

OB顧客にとって、メンテナンス依頼がただの「負担」ではなく「住まいの安全を守る投資」だと理解してもらえれば、相談してもらえる関係性が築けるかもしれません。

⑥中古住宅保証

中古住宅保証は、新築時に長期保証サービスへ加入していないOB顧客にとって有効な施策です。新築時の瑕疵保険の期間が終了する10年目以降は、住宅の防水部分や給排水管のメンテナンス需要が高まる時期であり、保証継続の提案として自然な形で接点を持てるからです。

このような引き渡し後に保証へ加入できるサービスを提供することで、住宅会社は付随する定期的な検査やメンテナンスの機会も確保でき、その過程でリフォーム提案につなげられるのです。

中古住宅保証の提案で、「建てた後も責任を持って見守ってくれる会社」という信頼感が生まれれば、大規模なリフォームや増改築の際にも真っ先に相談される存在になれる事が期待できます。保証という仕組みを活用することで、接点維持と同時にリフォーム需要獲得の両方を実現できる点が、中古住宅保証サービスの魅力とも言えます。

自社に合った方法で、OB顧客と継続的に接点を作りましょう

新築住宅会社が既存住宅市場へ本格参入し、リフォーム需要を獲得していくには、まずOB顧客との関係強化こそが重要です。住宅業界では今まさに「建てて終わり」から「建てた後も守り続ける」への転換期だと考える住宅会社が増えており、実はOB顧客自身が望んでいることかもしれません。

定期点検やインスペクション、アフターサービスの充実によって「この会社に任せておけば安心だ」という信頼をお施主様から得ることができれば、リフォームのタイミングで他社に負けず需要獲得できるチャンスは大きくなるでしょう。自分の会社に合った方法を選び、人手や時間が足りないときは外注先を活用して、関係性を続けられるよう工夫することも1つです。

今回ご紹介したサービスの中でも、ジャパンホームシールド社の中古住宅保証サービス「建物サポートシステムストック型」は、建物状況調査からメンテナンス工事、10年の長期品質保証を仕組みとして提供しており、住宅会社様のOB顧客へのアプローチをサポートする独自のバックアップ制度です。ぜひ一度ご検討いただければ幸いです。

OB顧客と継続的に接点をつくることは簡単ではありませんが、できることをコツコツ積み重ねていくと、相談される相手としていつか声を掛けてもらえる可能性が高くなります。どの方法が自社に合うかは、各社の状況や顧客との距離感によって変わります。本記事が、自社らしい接点のあり方を考える材料になれば幸いです。

ジャパンホームシールド編集部
ジャパンホームシールド編集部
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