
【必見】残価設定型住宅ローンの提案に必要な維持管理の継続ポイント
住宅ローンの新たな選択肢として「残価設定型住宅ローン」が注目を集める中、2026年3月には住宅金融支援機構(以降、JHF)が、残価設定型住宅ローンに対応した新しい保険制度を創設する予定です。この制度により、これまで一部の金融機関に限られていた残価設定型住宅ローンが、より幅広いお施主様に提供されやすくなることが期待されています。
一方で、残価設定型住宅ローンをお施主様へ提案する住宅会社には、月々の返済負担を軽くするメリットだけでなく、将来の住宅価値(残価)を守る取り組みも同時に求められます。
そこで本記事では、残価設定型住宅ローンの仕組みと新しい保険制度の概要を整理した上で、維持管理を継続するための実践的なポイントを解説します
この記事で分かること=========
・残価設定型住宅ローンの概要や利用条件
・3月創設予定の残価設定型住宅ローン保険の特徴
・維持管理の継続ポイント
===================
本記事は、2026年3月16日時点で、残価設定型住宅ローン保険制度の創設前に、国土交通省出典の情報をもとに作成しています。
※1引用元:国土交通省「残価設定型住宅ローンの供給促進のための住宅融資保険制度の創設」
※2引用元:国土交通省「住宅流通活性支援残価設定型住宅ローンの開発の概要」
※3引用元:住宅金融支援機構「令和7年度補正予算に伴う制度拡充のお知らせ」2025年12月
目次[非表示]
- 1.残価設定型住宅ローンについて
- 1.1.残価設定型住宅ローンとは?
- 1.2.残価設定型住宅ローンが生まれた背景
- 1.2.1.住宅価格の高騰
- 1.2.2.ローン借入期間の長期化
- 1.2.3.100年住宅へのニーズ対応
- 1.3.残価設定型住宅ローンのメリット
- 1.3.1.お施主様の月々の返済負担を軽減できる
- 1.3.2.住宅の資産価値を維持できる
- 1.4.残価設定型住宅ローンが利用できる条件
- 2.3月創設予定の残価設定型住宅ローン保険
- 3.維持管理を運用し続ける2つのポイント
- 4.外注活用で維持管理を継続できる体制を構築
残価設定型住宅ローンについて
残価設定型住宅ローンに注目が集まる中、「毎月の返済が減るなら検討したい」と考える一方で「残価設定型住宅ローンの具体的な仕組みについて詳しく知らない」と疑問を持つお施主様も少なくないでしょう。
ここでは、住宅会社がお施主様へ説明できるように、残価設定型住宅ローンの基礎知識について整理します。
残価設定型住宅ローンとは?
「残価設定型住宅ローン」とは、将来的な住宅の価値(残価)をあらかじめ設定し、借入金額からその残価を差し引いた金額を分割して返済していく仕組みのことです。将来の価値分を据え置いて返済するため、通常の住宅ローンと比べて月々の返済負担を大幅に軽減できるのが最大の特徴です。
また後述しますが、将来住み替えや死亡などにより住宅を売却した場合、売却代金でローン残高を返済する形となります。その際、売却価格が当初設定した残価を下回っても、差額についてはJHFの住宅融資保険でカバーされるため、差額が債務者に請求されない設計となっています。
残価設定型住宅ローンが生まれた背景
残価設定型住宅ローンが生まれた背景には、住宅市場をめぐる3つの構造的な変化があります。
住宅価格の高騰
1つ目は、住宅価格の高騰です。資材高騰や人手不足、金利上昇など、物価高騰を背景に住宅価格が上昇する中、月々の返済額を抑えた形で住宅を取得できる仕組みへのニーズが高まっています。
残価設定型住宅ローンとは別に、この対応の一環として全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】の融資限度額を現行の8,000万円から1億2,000万円へ引き上げることも発表されています。こうした取り組みからも、住宅取得に関わる金融施策全体の見直しを促していることが伺えます。
ローン借入期間の長期化
2つ目は、ローン借入期間の長期化です。住宅価格の上昇に伴い、35年ローンから40年・50年ローンへと長期化する傾向が強まっており、特に定年後の返済に対する不安を抱えるお施主様が増えていると聞きます。
返済期間が長期化することで、一見定年後もローン返済が続くというリスクとも解釈できますが、残価設定型住宅ローンは、このような長期返済の不安を抱えるお施主様に向けた有効なローン内容になっています。
100年住宅へのニーズ対応
3つ目は、100年住宅へのニーズ対応です。人生100年時代におけるライフスタイルの変化や、住み替えニーズの増加、環境配慮による住宅の長寿命化が進む中で、長期間にわたって価値を維持できる住宅のニーズが高まっているようです。
残価設定型住宅ローンは、単に月々の返済負担を下げるだけでなく、「将来も価値が維持できる住宅」であることを前提とした仕組みであるため、品質の高い住宅を手がける住宅会社との親和性が高いとも言えるのではないでしょうか。
残価設定型住宅ローンのメリット
残価設定型住宅ローンには、お施主様のライフプランに応じた複数のメリットがあります。
お施主様の月々の返済負担を軽減できる
残価設定型住宅ローン最大のメリットは、月々の返済額を通常のローンより低く抑えられる点です。将来の残価を据え置くことで、その分毎月の返済額が通常の住宅ローンより低く抑えられます。
同じ物件価格であれば月々の支払いが少なくなるため、生活費や教育費に余裕を持ちたい子育て世帯や、返済負担率を一定以内に収めたい方にとって選びやすくなるでしょう。
住宅の資産価値を維持できる
もう1つは、住宅の資産価値を維持できることです。通常の住宅ローンと異なり、将来の残価を設定できる点で、住宅品質の維持管理と継続的なメンテナンスを前提としています。
維持管理の体制が整った住宅会社だからこそ、残価設定型住宅ローンを提案できるという意味で、品質面で信頼できる会社と言えるのではないでしょうか。将来の資産価値が守られるとお施主様へ安心してもらえることは、品質面で差別化要素にもなり得るでしょう。
残価設定型住宅ローンが利用できる条件
残価保証および残価設定型住宅ローンを利用するためには、住宅ローン保険の適用有無に関わらず、以下3つの条件を満たすことが求められます。
条件①残価設定型住宅ローンが組める金融機関から借入
このローンを取り扱う金融機関はまだ限られているため、残価設定型住宅ローンに対応した金融機関から借り入れることが前提となります。また、2026年3月創設予定の「残価設定型住宅ローン保険」が開始することで、今後さらに取り扱い金融機関の拡大が期待できます。
条件②一定の耐久性を備えていること(ZEH水準や認定長期優良住宅など)
対象となる住宅には、将来的な資産価値(残価)を担保するため、認定長期優良住宅などの一定の耐久性を備えていることが求められます。
耐震性や省エネ性、維持管理のしやすさなど、国が定める高い性能基準をクリアしていることが、将来の「残価」を保証するための品質担保として機能します。
条件③維持管理(点検・メンテナンスなど)を継続すること
住宅の品質を長期間維持するため、一定の維持管理(点検・メンテナンス)を確保することが保険適用の条件として義務づけられています。適切に維持管理を行なうことで。将来お施主様が住宅を手放す際に、ローン残高と売却額の差額をJHFの保険でカバーすることができます。
維持管理は住宅会社が直接サポートできる条件として、後述するアフターサポートの体制整備と直結しています。したがって、「良い住宅を建てるだけ」では成立しない点は、提案前にお施主様へ丁寧に伝えておくのがいいと考えます。
3月創設予定の残価設定型住宅ローン保険
残価設定型住宅ローンの概要から利用条件までご説明してきましたが、ここでは2026年3月に創設が予定されている「残価設定型住宅ローン保険」について、住宅会社がお施主様へ説明できるようにご紹介します。
残価設定型住宅ローン保険とは?
「残価設定型住宅ローン保険」とは、住宅金融支援機構(JHF)が2026年3月に創設を予定している、残価設定型住宅ローンを提供する金融機関を対象とした保険です。お施主様が直接加入するものではなく、あくまでも金融機関が加入することで、ローン提供時のリスクをJHFが引き受ける仕組みとなっています。
残価設定型住宅ローンには、将来の住宅売却時に実際の価値が当初設定した残価を下回るリスクが存在します。金融機関にとっては本来この未回収リスクが発生しますが、残価設定型住宅ローン保険に加入することでそのリスクがJHFに移転されます。
結果として金融機関は残価設定型住宅ローンを提供しやすくなり、より多くのお施主様がこのローンを選べる環境が整うことになります。
残価設定型住宅ローン保険の3つの特徴
残価設定型住宅ローンに対応したこの保険制度には、お施主様の安心と金融機関の積極的な商品提供を支える3つの重要な特徴があります
特徴①当初の設定価格を下回っても差額の請求なし
将来の住宅売却時に、実際の売却価格が当初の設定残価を下回ったとしても、お施主様に対して差額の請求は発生しません。住宅市場の価格変動リスクをお施主様が全額負担しなくて済むので、安心して選ぶことができます。
特徴②通常の住宅ローンと新型リバースモーゲージ型住宅ローンを組み合わせた融資
残価設定型住宅ローンは、通常の住宅ローン(残価設定月までの元利返済部分)と、新型リバースモーゲージ型住宅ローン(残価設定月以降の利息のみ返済部分)を組み合わせた融資構造になっています。
残価設定月以降は利息分のみの支払いに切り替えられるため、老後の返済負担も不安も軽減できることも特徴の1つです。
特徴③死亡時・売却時のノンリコース型適用
万が一お施主様がお亡くなりになられた時や住宅を売却する時には、住宅の売却代金でローン残高を清算し、残債が生じても追加返済が求められない「ノンリコース型」の適用が予定されています。
住宅の価値下落分をお施主様やそのご家族が自己負担し続けるリスクを回避することができるため、長期のローン返済も視野に入れて住宅を購入しやすくなることができるでしょう。
相続や住み替えを見据えたライフプランとセットで説明できると、相手に寄り添った提案として信頼されやすくなる事が期待できます。
維持管理を運用し続ける2つのポイント
ここまで、残価設定型住宅ローンの仕組みと保険制度の概要を確認してきました。では、利用条件の一つである「維持管理・メンテナンスの継続」を住宅会社として実現するには、具体的に何が必要でしょうか。
人員不足・業務の属人化といった現場課題を踏まえた上で、継続的に維持管理体制を運用するための3つのポイントを整理します。
ポイント①対応記録の作成と保管を仕組み化する
1つ目は、対応記録の作成と保管を仕組み化することです。
残価設定型住宅ローンの利用条件「一定の耐久性を備えていること」の中で一例として挙げた「長期優良住宅」では、維持保全計画に基づいて定期的な点検や必要に応じた修繕を実施し、その結果の記録を作成・保存することが義務付けられています。所管行政庁から維持保全の状況について報告を求められるケースもあるため、適切に管理し続けなければなりません。
しかし、お施主様自身ですべての記録を漏れなく管理することは負担が大きく、紛失のリスクも考えられます。そのため、住宅会社側で対応履歴や建物の情報を一元管理できる住宅履歴システムや顧客管理システムを導入し、対応記録の作成と保管を仕組み化しておくことも1つの選択です。
この仕組み化により、お施主様の負担を軽減しつつ、将来にわたって住宅の残価を証明することができるため、非常に有効なポイントだと考えます。
ポイント②点検やメンテナンスの外注を活用する
2つ目は、点検やメンテナンスの外注を活用することです。
適切に維持管理を継続するためには、計画に基づいた定期点検や、自然災害時の臨時点検、そして劣化状況に応じたメンテナンスを長期にわたって行う体制が必要です。
しかし、住宅会社の中には「定期点検やアフター対応のための人材が不足している」「業務が属人化し、担当者の負担が大きい」といった課題を抱えているケースも少なくないと聞きます。
そのような場合は、定期点検やインスペクション、そしてメンテナンス工事を第三者機関が代行する「外部委託」も1つの選択です。さらに、その点検や工事の品質までを保証する品質保証サービスがセットだと、お施主様にとってはより大きな安心感として受け取ってもらえることが期待できます。
こうした外注の活用で、自社の人員数や工数に関係なく、お施主様との継続的な接点を維持できます。第三者の専門家による客観的な点検やメンテナンスという点でも、お施主様の納得感が高まり、必要な修繕への理解を得やすくなると考えられます。
点検やメンテナンスの外注を検討する際の注意点や外注先の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご参考ください。
外注活用で維持管理を継続できる体制を構築
残価設定型住宅ローンは、お施主様にとって月々の返済負担を下げることができます。しかし一方で、住宅会社にとっては、残価を維持するための条件を提案と運用の両面で支える必要があります。点検・補修・履歴管理・窓口運用をすべて自社で継続できるかの運用面は、工数負担を考慮して、考えていかなければいけないのではないでしょうか。
そこで、ジャパンホームシールド社の建物長期保証サービス「建物サポートシステム」は、構造・防水箇所の品質を長期にわたり保証するメリットに加えて、点検代行や任意のメンテナンス代行までサポートしています。
お施主様へ残価設定型住宅ローンをご提案する上で、建物サポートシステムが住宅品質の維持管理やメンテナンスの継続をサポートできるサービスとしてお役立ちできると考えています。もしご興味があれば、無料でサービス資料をお渡しいたしますので、以下よりお気軽にお申し込みください。

