
新築時から将来価値を考える「アフターサービス」の取り組み
新築住宅の着工数が減少する一方で、既存住宅の販売数が増加している近年、住宅は「長期的な資産」として捉える視点が、新築住宅会社にも求められています。つまり、新築時から将来価値を見据えた販売提案やアフターサポートが、お施主様にとって「この会社で建ててよかった」と感じてもらえる評価ポイントになるというわけです。
そこで本記事では、新築住宅販売時になぜアフターサポートを考慮すべきか、そして将来価値を維持するためにどんなアフターサービス施策が必要なのかを解説します。
この記事で分かること=========
・新築販売時からアフターサポートを考えるべき理由
・アフターサポートで将来価値を維持する方法
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目次[非表示]
なぜ新築販売時からアフターサポートを考えるべきか?
新築着工数の減少と既存住宅流通の増加という構造変化が進む中で、お施主様の価値観そのものが「長期的な資産価値」を重視する方向へとシフトしています。この変化に対応できるかどうかが、これからの住宅会社の競争力を左右するでしょう。
ここでは、どのような市場環境の変化が起きているのか、そしてなぜアフターサポートが差別化要素になるのかを見ていきます。
「新着着工数の減少」と「既存住宅流通の増加」
バブル期には年間160〜180万戸あった新築着工戸数も、足元では80万戸程度まで減少しました。一方で、既存住宅の流通量は増加傾向で、国はこのストックを有効活用するために、リフォーム支援やインスペクション、既存瑕疵保険などの制度整備を進めてきています。
こうした施策の後押しもあって、「中古住宅でも安心して買える」環境が少しずつ整い、その結果として既存住宅の流通量は着実に増えてきています。2040年には既存住宅が年間20万戸まで増加するとの予測もあり、もはや既存住宅は一時的なトレンドではなく、市場の主要な選択肢の一つとして定着しつつあるのです(※1)。
このように、新築一辺倒だった市場から、新築と既存住宅の両方が現実的な選択肢になる市場へと移行しつつある中、お施主様の価値観も変化しています。たとえば、価格や立地だけでなく耐震性や耐久性、定期点検や保証内容といったアフターサービスまで重視する傾向が強まっています。
「買った後も長く安心して住めるか」「将来売るときに価値が残るか」といった、長期的に価値を維持できる住宅かどうかが、物件選びの新しい軸になりつつあります。
※1引用元:野村総合研究所「2040年度の新設住宅着工戸数は49万戸に減少、2040年の既存住宅流通量は20万戸に増加する見通し」2022年6月
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では、こうした市場環境の変化に対して、新築住宅会社はどのように対応すべきでしょうか。その答えの一つが、新築時から将来の品質・安全維持や中古販売を意識した販売提案を行うことです。もし、このような提案ができると、お施主様にとって大きな差別化要素になりえるでしょう。
例えば、大手ハウスメーカー10社が共同で推進する「スムストック」は、新築時から長期的な品質維持に取り組むことで、将来の価値下落を抑えるスキームとして注目されています(※2)。具体的には、新耐震基準を満たした構造であることに加え、新築後50年以上にわたる定期点検・メンテナンスプログラムが計画・実施され、すべての修繕履歴がデータベースで管理されている点が特徴です。こうした徹底したアフターサポートにより、築年数が経っても住宅の現況や性能が明確で、建物の価値を適正に評価しやすくなります。
一般的に、既存住宅は建物状態や価値が不明瞭で、性能面で不安視されがちですが、スムストックのように将来価値を維持できる仕組みをつくれると、「高品質なストック住宅を提供する会社」として市場の皆様にご評価いただけると考えております。つまり、新築販売時からアフターサポートを含めた長期的な視点で住宅を提供することが、今後の住宅会社にとって重要な競争優位性になると考えます。
※2引用元:イエウリ公式 不動産売却バイブル「スムストックとはどんな家?購入・売却のメリットとデメリットを解説」2025年6月
新築住宅の将来価値を維持するためのアフターサポート
先ほど解説した市場環境の変化を踏まえ、ここでは具体的にどのようなアフターサポートを導入すれば、新築住宅の将来価値を維持できるのかを解説します。
長期保証サービスの導入で安心と品質維持を担保する
住宅の資産価値を将来にわたって維持するには、長期保証や定期点検サービスを新築時から導入することが効果的です。住宅会社には新築引き渡しから10年間の瑕疵保証責任がありますが、これを延長した長期保証サービスを提供すれば、お施主様へより長い安心を届けることができるからです。
例えば、構造躯体や雨漏り、防蟻処理などに対して初期20年の長期保証を付与し、定期点検や万が一の補修対応をするサポートは有効でしょう。こうした保証が付帯していれば、万が一事故が生じても、金銭的補償や修繕対応が受けられるだけでなく、住宅の品質証明の1つとして機能するでしょう。実際に「住宅の売却時に長期保証が付いているかどうか」がお施主様側でも重要視されることが一般化しつつあることから、再販価値の向上が期待できます。
万が一に備えた補修・フォロー体制を確立する
長期保証とあわせて考えたい取り組みが、引き渡し後の補修・フォロー体制の充実です。なぜなら、どんな住宅でも年月とともに不具合の補修やメンテナンスは欠かせず、その際に的確に対応できるかどうかで、住宅の寿命も資産価値も左右されるからです。
万が一のときでもすぐに駆けつけてくれる専任者がいるだけでも、お施主様にとって「生涯この家に住み続けられる安心」を感じられるようになり、小さな不具合の早期発見・早期修繕につながります。また、小さな不具合にでも迅速に対応することで、顧客満足度の向上にも直結し、口コミや紹介といった新たな営業機会の創出が期待できるので、補修・フォロー体制はしっかりと確立しておきましょう。
人員・ノウハウ不足は外注でカバーする選択肢を
アフターサポートの重要性は理解していても、中小規模の工務店やビルダーでは専門スタッフやノウハウが不足しており、自社だけでは十分な対応が難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、アフターサポート業務の外部委託を検討しましょう。
近年ではリフォームやインスペクションなど、一部のアフターサービスの専門会社も登場しています。お施主様からの問い合わせ受付や緊急駆けつけ対応など、アフターサポートを部分的にまたは一括して代行できるだけではなく、こうした専門業者はアフターサポートに関する豊富なノウハウとオペレーション体制を持っているため、人手不足の解消だけでなく高いサービス水準の維持にも役立ちます。
自社のリソースを無理に拡大するのではなく、外部の専門性を活用することで、効率的かつ高品質なアフターサポート体制を構築できるのではないでしょうか。
新築住宅の販売時から将来価値を意識しましょう
新築着工数が減り、既存住宅の購入が当たり前に選択肢に入る今、住宅は「引き渡して終わり」ではなく「いつか売る、相続される資産」として見られています。だからこそ新築住宅会社には、販売時点から長く価値を保つためのアフターサポートもセットで提案する姿勢が求められます。
今回ご紹介した将来の資産価値を維持するアフターサービスの中でも、たとえば「建物サポートシステム」は、構造・防水といった基本性能の長期品質保証に加え、定期点検や万が一の事故調査・補修サポートまでを一体で提供できます。こうした外部サービスを活用すれば自社リソースを増やしすぎることなく、「新築時から将来の資産価値まで責任を持つ体制」を実現できるでしょう。ぜひ、参考にしてみてください。

