
地盤改良工法のメリット・デメリットを工法別に徹底解説!
地盤改良工法とは、建物を安全に建てるために、軟弱な地盤の強度や安定性を高める工事のことを指します。
軟弱地盤のまま建物を建ててしまうと、不同沈下やひび割れなどの不具合が生じる可能性があります。こうしたトラブルを未然に防ぎ、建物の安全性や耐久性を確保するのが地盤改良の目的です。
地盤改良にはいくつかの工法があり、土の性質や建物の規模、敷地条件、工事予算などを踏まえて、最適な工法を選ぶ必要があります。
今回は、代表的な5つの地盤改良工法について、メリット・デメリットを含めてわかりやすくご紹介します。
主な地盤改良工法と特徴
❶ 表層地盤改良工法
表層部分を掘削し、セメント系固化材と現地発生土を混合・転圧する工法です。
適 用 地 盤 : 軟弱地盤がおおむねGL-0.5~2m以浅に分布している地盤
メ リ ッ ト : 改良状況を目視で確認できる
全国的に適用事例が多い
デメリット: 粘土質や地下水位が高い地盤には不向き
施工後、養生期間が必要
残土が膨大に発生する
❷ 湿式柱状改良工法
地盤を掘削しながら機械先端部よりスラリー(泥状の混合物)状にしたセメント系固化材を注入し、柱状の改良体をつくる工法です。
適 用 地 盤 : 軟弱地盤がおおむねGL-1.5~8m以浅に分布している地盤
メ リ ッ ト : 中~大規模の住宅にも対応可能
全国的に適用事例が極めて多い
デメリット: 偏土圧が発生するため、擁壁際での施工時には注意が必要
施工後、養生期間が必要
残土が発生する
❸ ピュアパイル工法
採掘ロッドを回転させながら掘削し、セメントミルクを吐出しながらロッドを引き上げる工法です。
適 用 地 盤 : おおよそ深度1.5~10mまで適用可能
砂質土・粘性土・腐植土層にも対応可能
メ リ ッ ト : 土を混入させないセメント100%の杭のため、強度が均一で安定性が高い
土との攪拌が不要なため、施工時間が短い(柱状改良の約半分)
残土がほとんど発生しない
デメリット: 施工後、養生期間が必要
❹ RCパイル工法(コンクリートパイル工法)
既製の鉄筋コンクリートパイルを地中に圧入し、新しいパイルをほぞ継手または溶接で継ぎ足す工法です。
適 用 地 盤 : おおよそ深度2~20mまで適用可能
メ リ ッ ト : 軟弱層厚、支持層深度が不均一な地盤にも対応可能
施工後、養生期間が不要
残土が発生しない
デメリット: 大型施工機械を使用するため、搬入・作業スペースの確保が必要
❺ 小口径鋼管工法
鋼管杭を回転しながら地中に貫入させ、新しい杭を溶接で継ぎ足す工法です。
適 用 地 盤 : おおよそ深度2~20mまで適用可能
メ リ ッ ト : 既製品を使用するため品質が安定
施工後、養生期間が不要
残土が発生しない
デメリット: 深度が増すほどコストが上昇
\ジャパンホームシールド独自の「SQ Pile(エスキューパイル)工法」も、小口径鋼管工法の一種です。/
角型の鋼管と平板形状を組み合わせることで、安全性と経済性の両立を実現しています。
地盤改良工法 比較表
地盤改良を検討する際のポイント
● 正確な地盤調査を実施する
まずは、ボーリング調査やSDS試験、SWS試験などによる正確な地盤把握が必須です。
支持層の深さ、土質、地下水位などに応じて、工法選定の方向性が決まります。
● 敷地条件・施工環境を確認する
敷地の広さや接道状況、隣接建物との距離といった敷地条件は、施工時の重機の搬入可否や作業スペースの確保など、施工方法の選定に直接影響します。
これらの条件を十分に把握したうえで、工程計画を立て、近隣への説明や配慮も含めた準備を進めることで、施工中のトラブルや工期の遅延を未然に防ぐことができます。
● 信頼できる専門業者と連携する
地盤改良は高度な専門技術が求められ、施工の精度が建物の安全性・耐久性に大きく影響します。
そのため、経験と実績のある調査・施工業者と連携し、地盤条件や建築計画に応じた適切な工法を選定することが、施工の品質を高め、安心できる住まいづくりに繋がります。
まとめ
地盤改良工法は、建物の規模や敷地条件、そして地盤の状態に応じて最適な選択肢が異なります。
正確な地盤調査を行い、敷地の状況や施工環境を十分に確認することが、安心・安全な地盤改良の第一歩です。
また、経験豊富で信頼できる専門業者と連携し、目的や条件に最適な工法を選定することが、品質確保とトラブル防止につながります。
こうしたポイントを踏まえ、慎重に準備を進めることで、長期にわたり安全で快適な住まい環境を共に実現していきましょう。

よくわかる地盤調査とその対策
地盤調査
テクニカルガイド
地盤の評価の考え方から、調査方法、対策までを網羅的に解説した
「テクニカルガイド」をご用意しております。
地盤に関する業務や検討に、ぜひお役立てください。