「オール20年品質保証」ってなに?防蟻保証も加わった住宅保証の新しいスタンダードとは
近年、住宅に関する保証サービスが長期化する傾向にあります。例えば、地盤の20年保証はすでに市場で一般化しており、10年保証が主流だった構造や防水の保証も、ここ数年で20年保証が増えてきています。
しかし、防蟻保証に関しては5年間の保証が主流であり、20年間保証の考え方は市場で普及していません。実際に、防蟻業者へ依頼して5年ごとに防蟻薬剤を塗布して、シロアリ被害リスクを軽減する対策をしていますが、5年ごとに薬剤塗布によるコスト負担があるのが実情です。
そこで最近では、この防蟻保証の期間も20年にすることが、保証サービスの長期化の中で重要視されつつあります。そして新しい考え方として、地盤・構造・防水に防蟻も加えた「オール20年品質保証」が、今後住宅保証の新しいスタンダードになっていくと予想されます。
この記事では、オール20年品質保証や防蟻保証20年の概要とメリットについて解説します。
この記事で分かること=========
・「オール20年品質保証」の概要と重要性
・防蟻保証20年の概要と仕組み
・「オール20年品質保証」がもたらすメリット
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目次[非表示]
オール20年品質保証とは
地盤や構造、防水に加え、いまや防蟻保証の長期化の需要も高まる中、「オール20年品質保証」が、今後の住宅保証サービスの導入を考える上で重要な考え方になります。この「オール20年品質保証」の内容について解説します。
「地盤+構造+防水+防蟻」の保証がすべて20年
オール20年品質保証とは、地盤、構造、防水に加え、防蟻の保証が新たに加わった4つの要素を20年間保証する新しい住宅保証の考え方のことです。このオール20年品質保証は、住宅保証の長期化に基づいた新しい考え方として、施主の住まいの安全を長期にわたり守ることを目的に作られた言葉になります。
実際に、地盤や構造、防水の3つの要素は、住宅の基盤を支える重要な部分として、各種20年間の保証サービスがすでに市場で一般化しており、住まいの長期的な安全の提供に貢献しています。
「20年間の防蟻保証」も加わった住宅保証の新しいスタンダード
防蟻保証については、5年間がこれまでの主流で、20年間の保証サービスはほとんど普及していません。通常はシロアリ対策として、5年ごとに防蟻業者に指定部材の薬剤塗布をしてもらうことで、シロアリ被害が発生しないように施主が依頼しています。
しかし、このシロアリ対策では、5年10年15年と5年ごとに薬剤塗布が必要になり、そのたびにシロアリ対策の費用が発生してしまいます。このランニングコストを抑えるメリットとして、20年間の防蟻保証は施主にとって重要になります。
また最近の防蟻保証では、これまでの殺虫効果によるシロアリ駆除の方法ではなく、防蟻シートや防蟻テープなど、シロアリを寄せ付けない忌避効果のある材料を使用することで、シロアリに耐性を与えることなく、徹底してシロアリ対策できるようになっています。
今後は、防蟻保証も地盤・構造・防水の保証と同様に、20年間の保証が求められる時代がやってきます。購入者の需要として住宅保証の長期化が進んでいる中、工務店にとってもオール20年品質保証は新しいスタンダードになるでしょう。
オール20年品質保証のメリット
施主にとって長期間の保証が大きな安心材料になる中、オール20年品質保証の考え方を取り入れることで、どのようなメリットを得られるか、購入者と工務店それぞれの視点でご紹介します。
より幅広い観点で施主の安心を提供
1つ目は、地盤・構造・防水・防蟻を20年という長期保証でカバーすることで、施主の安心をながく守ることができます。
近年、同じ家に長く住みつづける施主が増えたことで住宅の長寿命化が進んでいますが、一方で経年劣化や液状化現象のような事故リスクは、100%事前に回避することはできません。特にシロアリ被害や雨漏りなどのトラブルは、築年数が経つほど増加する傾向にあります。
こうしたさまざまな事故やトラブルに備えて、長期間の保証が付帯しているかどうかは、施主の住宅選びにとって重要な観点になります。そしてオール20年品質保証は、施主の安心を長く守り続けるための重要な考え方として、施主にとって大きなメリットになるというわけです。
防蟻保証による施主のランニングコストの削減
2つ目は、20年の防蟻保証をつけることで、シロアリ対策にかかる施主のランニングコストを削減することができます。
施主は、通常シロアリ対策として、防蟻業者へ依頼して5年ごとに薬剤塗布しているため、5年10年15年のタイミングで薬剤塗布の出費が発生します。もしシロアリ対策を一度もしなかった場合、被害発生時の施主の負担額は最大で600万円を超えるケースも考えられます。(※2)
※2出典元:E-PARKくらしのレスキュー「シロアリ予防は無駄ってホント?被害にあった時の費用と予防にかかるコストを比較」2023年4月
また、シロアリ被害は瑕疵担保責任保険の保証対象外である為、被害が発生した際は基本的に施主が実費で修理を行います。過去にこのシロアリ被害の修理費として、およそ300万円以上かかる事例もありますので、決して小さな損失金額ではありません。
防蟻保証は、こうした5年10年15年と5年ごとに支払うシロアリ防除費用や、シロアリ被害が発生した際の修繕費用を補てんすることができるため、施主のコスト負担を大きく削減することができるようになります。
競合他社との差別化における考え方
3つ目は、地盤、構造、防水、防蟻のすべてを20年間保証する考え方が、競合の工務店との差別化における重要な考え方になります。
それぞれの免責範囲を一部補てんできる
実際に、地盤、建物(構造と防水)、防蟻の3つの保証をセットで考えることで、それぞれの免責範囲を一部補てんできる点でも大きなメリットがあります。
例えば、住宅を引き渡した後に床の傾きが発覚した場合、地盤が原因なのか、それとも建物が原因なのか、判断が難しい場合があります。また、もし雨漏りとシロアリの被害が確認された場合、建物保証か防蟻保証どちらの保証として適用される被害なのか、判断が難しい場合があります。
このような事故・トラブルへの対応においても、地盤、建物、防蟻それぞれ同じ20年間の保証として加入しておくことで、それぞれの免責範囲を一部補てんすることができ、施主から選ばれる理由になります。
保証会社の統一で、保証責任の所在が明確にしやすい
また、各種の保証会社を統一することで、事故やトラブルの発生原因の所在と責任を明確にしやすい点も、差別化の1つになります。
先ほど例に挙げた「住宅を引き渡した後に床の傾きが発覚した場合、地盤が原因なのか、それとも建物が原因なのか判断が難しい」ケースでは、地盤保証と建物保証が別々の会社で契約している場合、施主はそれぞれの会社へ事故の原因や適用可否を確認する必要があります。
それぞれの保証会社が別々の見解で齟齬が生まれると、保証責任の所在を明確にできない場合も想定されます。それぞれの保証会社へ毎回確認するのも一定の手間がかかるので、面倒でもあるわけです。
しかし、保証会社を統一しておくことで、保証会社の事故の原因に対する見解が1つにまとまります。結果、保証責任の所在を明確にできるようになり、かつ一度で責任の所在を確認できるので、施主の確認作業の負担も抑えることができます。
オール20年品質保証に限らずですが、このように複数の住宅保証へ加入する際、契約する保証会社を1つに統一することは、保証責任の所在の明確化と、確認作業の負担軽減につながるメリットであり、提案の差別化として考えられるわけです。
オール20年品質保証がスタンダードになる日は遠くない
以上から、オール20年品質保証は、今後の住宅保証サービスの新しいスタンダードとして、住宅購入における重要な考え方になっていくでしょう。住宅の長期化がすでに進んでいる中、オール20年品質保証が施主の中で当たり前になる日も遠くはないかもしれません。
そして工務店は、このオール20年品質保証の考えに基づいた営業提案をすることで、他社と差別化して受注へ繋げることができるようになります。長期的な保証サービスの付帯で、顧客と長期的な関係構築ができる点もまた、オール20年品質保証のメリットといえるでしょう。
弊社では、このオール20年品質保証の需要を見据えて、地盤、構造、防水、防蟻の20年保証を提供する「長期サポートプログラム」というサービスを工務店へ提供しています。
これからの購入者のニーズを見据え、このオール20年品質保証の考えのもと、住宅の長期的な安全性を確保することができます。ご興味がありましたら、以下の詳細ページよりをご覧くださいませ。