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シロアリ対策における「殺虫」と「忌避」の違いとは?

シロアリ対策を考える際に、一般的に殺虫剤が使われることがほとんどですが、シロアリを殺虫するではなく、寄せ付けない「忌避」という効果あることご存知でしょうか

シロアリ対策に使われる殺虫剤でシロアリを直接的に駆除することは可能です。しかし、シロアリを寄せ付けないもう一つの方法として、「忌避」効果をもつ忌避剤や忌避シートも対策として有効です。どちらもシロアリ被害から住宅を守るために用いられますが、それぞれの作用や効果に違いがあります。

今回の記事では、シロアリ対策における「殺虫」と「忌避」の作用や効果の違いについて、詳しく解説していきます。


この記事で分かること=========
・シロアリ対策における「忌避」について
・殺虫剤と忌避剤の違いについて
・殺虫と忌避の使用上の違いについて
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目次[非表示]

  1. 1.シロアリ対策における忌避効果とは
    1. 1.1.忌避とは何か?
    2. 1.2.シロアリ対策に使われる忌避剤とは?
    3. 1.3.殺虫剤と忌避剤の違い
  2. 2.殺虫剤と忌避の使用上の違いについて
    1. 2.1.効果の持続性
    2. 2.2.作用や効果
    3. 2.3.人体への健康被害
    4. 2.4.使用コスト
  3. 3.まとめ


シロアリ対策における忌避効果とは

シロアリ対策における忌避効果とは

冒頭でご説明した通り、シロアリ対策に使われる薬剤として「殺虫」と「忌避」それぞれの効果をもつ薬剤があり、それぞれが異なる役割を果たします。このパートでは、シロアリを寄せ付けない「忌避」に関する基本情報を解説していきます。


忌避とは何か?


忌避とは、ある物事や状況を嫌って避けようとすること、あるいはその結果として避けられることを指します。つまり、シロアリ対策における「忌避」とは、シロアリが寄り付かない環境を作り出すことを意味します。

具体的には、シロアリが嫌う特定の化学成分を使用することで、シロアリが嫌う環境をつくりだすことができます。忌避効果を持つ薬剤やシートを住宅に使うことで、木材や住宅自体から避けるように仕向けることができるわけです。


シロアリ対策に使われる忌避剤とは?


忌避効果を持つ忌避剤は、こうしたシロアリが嫌う環境をつくるために処理する薬剤のことです。木材や土壌などに処理することで、シロアリの侵入を防ぎ、シロアリ被害を未然に防ぐことができます。


実際に忌避剤には、一般的にシロアリにとって不快な臭いがあるため、シロアリが木材に近づきにくくなる効果があります。例えば木材の表面に層を形成することで、シロアリを近づけさせないようにする、などです。この方法は、殺虫剤と異なり、直接的な駆除を目的としないため、環境への影響も比較的少ないされています。


殺虫剤と忌避剤の違い


シロアリ対策において、殺虫剤と忌避剤の違いはその目的と作用にあります。殺虫剤は、虫を直接殺すことを目指した薬剤で、シロアリを含む害虫を迅速に駆除します。


それに対して忌避剤は、シロアリを寄せ付けない、つまり追い払う環境を作ることを目的としています。このため、忌避剤は直接的な殺虫効果を持たず、シロアリが嫌う環境をつくりだすことで、シロアリによる被害を予防することが期待できます。


殺虫剤は虫を直接殺すことを目的とした薬剤、忌避剤は虫を寄せ付けず追い払う環境を作ることを目的とした薬剤と、理解しておくと良いでしょう。


殺虫剤と忌避の使用上の違いについて


では、殺虫と忌避それぞれの作用と効果について、具体的にどのような違いがあるのかを掘り下げていきます。一般的に、シロアリ対策では合成殺虫剤が広く使用されていますが、忌避効果を持つ防蟻シート(以下、忌避シート)も注目されています。そこでこのパートでは、以下の4つの観点から、シロアリ対策における合成殺虫剤と忌避シートの違いを見ていきます。


効果の持続性


殺虫剤は、その高い殺虫効果により、一般的に5年間の効果を持続することができます。また一部の薬剤には、揮発しにくいホウ酸成分を含むものがあり、より長期間効果を持続することができます(※1)。
※1 出典元:日本ボレイト公式ブログ「【よくある質問】合成殺虫剤とホウ酸の違いは?」2018年1月


一方、忌避シートは、忌避剤の含有成分として、忌避性・即効性・持続性を持つビフェントリンが含まれているため長期間その効果を維持することができます。さらに、シートタイプを使用することで、物理的にシロアリの侵入経路をブロックする役割を果たします。つまり忌避シートは、「忌避」と「物理的な侵入阻止」の二重対策としても効果があります。


作用や効果


殺虫成分を含んだ殺虫剤は、その強力な殺虫効果が特長です。殺虫成分に対するシロアリの耐性の程度が変わると防蟻対策の効果も変わってきますが、プロの防蟻業者へ相談するなどして適切に措置を行うことで、一定の殺虫効果が期待できます。


一方、ビフェントリン成分を含む忌避シートは、そもそもシロアリがそばに寄らないため、耐性を持たせないという特徴があります(※2。シロアリの薬剤に対する耐性に左右されることなく、持続的な予防効果を発揮します。
※2 出典元:暮らしを豊かにする家守りノート「材木屋が勧める!20年長期保証と延長保証が安くなる新築のシロアリ対策とは!」2024年9月


人体への健康被害


殺虫剤の場合、使用する製品や成分によりその安全性は変わります。例えば、ネオニコチノイド系薬剤はシロアリに対して効果的でありつつ、哺乳類への毒性は低いとされます。


またフェニルピロール系薬剤では、シロアリだけでなく人体にも高い毒性を示すため、取扱いには十分な注意が求められます(※3)。あらかじめ、使用する薬剤の成分表示を確認することが重要です。
※3 出典元:シロアリ駆除お助け隊「シロアリ駆除は薬剤の成分で安全性が決まる!系統ごとの毒性と商品例


一方で忌避シートの場合、 主に天然素材由来の成分が使用されていることから、人体へ影響は比較的小さいです(※4)。使用方法や適切な利用量を守ることが、健康の安全確保のために重要です。
※4 出典元:虫の110番「もう悩まない!害獣駆除に使われる薬・忌避剤の成分を徹底解説」2023年3月


使用コスト


殺虫剤は、初期コストは低く、5年間効果を持続することが期待できます。殺虫効果が切れるごとに薬剤施工の再処理をするため、薬剤処理の費用が都度発生しますが、効果を持続することができます。


一方で忌避シートは、初期コストは比較的高いものの、一度の施工で10~20年間と長期間効果を持続することができます。定期的なメンテナンスの実施は必要ですが、一度使用すれば費用発生の機会が少なくなるので、長期的に見るとランニングコストの軽減につなげることができるわけです。


例えば、忌避シートである「ターミダンシート」を利用した場合、一般的な農薬系合成殺虫剤による処理と比べて初期コストは高いです。しかし、殺虫剤と比較して長期間の忌避効果を持続することができるため、5年毎の再処理が不要だという観点で、トータルコストを抑えることができるのも特徴の1つです。



まとめ

まとめ_殺虫剤と忌避の使用上の違いについて

以上が、殺虫剤と忌避剤・忌避シートの作用・効果の主な違いでした。

新築住宅を建てる際は、殺虫剤と忌避剤・忌避シートの違いと特長を理解してシロアリ対策をすることが重要です。当社では、以下の対策を推奨しています。


  • 一次対策:「忌避シート」で、シロアリの寄せ付けない予防対策
  • 二次対策:「殺虫剤」で、万が一侵入してきたシロアリを殺虫する都度対策


注意すべきポイントとしては、忌避シートは基礎の上に敷くため、住宅を建てる前に使用有無を判断する必要があります。殺虫対策は、万が一のシロアリ被害が発生したときに都度対応することができますが、忌避シートは施工した後に利用すると決断しても、立て直しが必要になるため現実的ではありません。

それぞれの特徴を理解して使い分け・組合せをおすすめします。また、住宅を建てる前に殺虫剤や忌避シートの利用をご提案することで、施主との良好な関係構築が期待できるでしょう。ぜひご検討ください。


ジャパンホームシールド編集部
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